猫がしきりに痒がっていたり体調の異変がある時、ダニが原因となっている可能性があります。
うちの猫は完全室内飼いだからダニの心配はないよ
ダニは人の服などについて家の中に侵入するので、完全室内飼いの猫だからといって油断はできません。
ワンちゃんを飼っている場合は散歩などで体についてきて知らず知らずのうちに増えていた…なんてケースも多いです。
ダニは年間を通していますが、特に4月~9月はダニが活発になる季節です。猫だけでなく人にも影響があるダニは、重大な健康被害を及ぼす恐れもあります。
本記事では、猫に寄生するダニの種類、寄生する原因、寄生すると発症する病気や対策まで徹底的に解説します。
愛猫と長く安心して暮らすためにも、ダニへの知識を深め健康リスクを減らしていきましょう!
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猫に寄生するダニの種類
猫を飼っていて注意したいダニは主に5つもいますが、大きく2種類に分けられます。
- マダニ
- ヒゼンダニ
- ミミヒゼンダニ
- ツメダニ
- チリダニ
マダニ
マダニは猫や人に寄生して血を吸います。
人の命にかかわる可能性もある危険なダニです。
体長は3〜5mm程度ですが、吸血すると1cmほどに大きく膨らむので、肉眼でもはっきり認識できます。見た目は褐色や黒色。吸血されると貧血や脱水症状を引き起こし、猫の場合には以下の病気の原因となります。
- 猫ヘモプラズマ感染症
- 重症熱性血小板減少症候群(SFTS)
マダニが好む場所は、主に公園の草むら・森林・河川敷・畑といった自然環境です。特に暖かい春から秋にかけて活発になりますが、温暖な地域では冬でも活動します。
マダニにかまれた場合、無理に引っ張ろうとすると体の一部が猫の皮膚内に残る危険性が高いです。ダニに触らず、動物病院を受診することをおすすめします。
ヒゼンダニ
ヒゼンダニは体長0.2〜0.4mm前後の小さなダニで、肉眼ではほとんど見えません。
猫の皮膚の細胞を餌にして、顔回りや耳に激しいかゆみを引き起こすのが特徴です。疥癬(かいせん)という皮膚炎の原因となります。
ヒゼンダニの感染力は強いため、人にもかゆみが出ることがあります。以下のような状況に注意が必要です。
- 感染している猫との接触
- タオルや寝具、ブラシの共有
- 猫同士の接触
赤いブツブツ(丘疹)が見られたり強くかゆがっている場合は、動物病院を受診しましょう。
ミミヒゼンダニ
ミミヒゼンダニは猫の耳に寄生するダニです。耳垢や耳から出る分泌物を餌にするので耳ダニとも呼ばれます。
体長は0.3〜0.4mmと小さく、肉眼ではわかりません。ミミヒゼンダニに寄生されると、以下のような症状が見られます。
- 強い耳のかゆみ
- 真っ黒な耳あかの付着
- 悪臭
猫が耳をかいたり、しきりに頭を振ったりするときは、耳ダニを疑いましょう。
ミミヒゼンダニは室内で自然発生することはなく、感染動物や感染した動物が触れたものからうつります。母猫から子猫へ、多頭飼いの場合は感染した1匹から別猫に…と広がっていくケースが一般的です。
予防策は、猫を外に出すのは避け、外で暮らす動物との接触を防ぐことです。
ツメダニ
頭に巨大なかぎ爪を持っている特徴からツメダニと呼ばれます。
体長は約0.4〜0.5mmと小さく肉眼で見えませんが、白色なのでフケと間違われることがあります。感染すると以下の症状が見られます。
- 背中から腰に大量のフケ
- 湿疹
- かさぶた
- 脱毛
かゆみはほとんど出ません。
感染経路はノミやシラミ、ハエです。人への感染はまれですが、一時的にかゆみが出る場合もあります。かゆみや炎症がひどくなったら医療機関を受診することが大切です。
予防策は、不衛生な場所に猫を行かせない対策をしましょう。
チリダニ
チリダニとは布団やソファ、カーペットなどに潜んでいるダニで、肉眼では見えません。
人の垢やフケをえさにして増殖していきます。ハウスダスト(ほこり)のある場所には100%存在しているダニと言われています。
人間は、くしゃみ、鼻水、目のかゆみなどのアレルギー、湿疹、咳などの症状につながります。猫に関しては因果関係がまだ十分に解明されていませんが、チリダニやハウスダストが原因となり、人間同様の症状が出る場合があるといわれています。
部屋を清潔にしておくに越したことはないわね!
ダニが猫に寄生する原因
ダニは温度20℃以上、湿度60%以上で繁殖しやすい特徴があります。特に外猫はダニに寄生されるリスクが非常に高いといえます。一方、完全室内飼育の猫でも、感染するリスクがゼロになるわけではありません。
ダニの感染経路は、主に次の4つです。
- 屋外
- 屋内
- 人間
- 他のペット
屋外
屋外はダニが生息しているため、特にリスクが高いとされる場所です。外で暮らす動物、鳥類から感染する可能性があります。野山だけではなく、公園の草木や、河川敷、庭など身近な環境も油断できません。
野生動物は、病気を持っている可能性が高く危険です。スズメをはじめとした鳥や虫、ねずみなど動く生き物に対して、猫は狩猟本能で狩りをします。猫が外に出た場合には、手足の爪から体までしっかりと清潔にし、ダニの付着がないか確認しましょう。
» 猫の爪切り方法を解説
特に暖かい春や湿度が高い季節は、ダニの活動が活発になるため注意が必要です。ダニは寄生できる動物を草むらで常に待ち構えています。
ダニの感染リスクに限らず交通事故への危険もあることから、完全室内飼育が推奨されます。
屋内
屋内だけで飼っている場合でも油断してはいけません。ダニは次のような場所で繁殖します。
- ふとんやマットレス
- じゅうたんやカーペット
- 畳
- ソファ
- 猫が使う寝具
- 室内の花や植物
空気の流れが悪いトランクルームなども、ダニにとっては繁殖しやすい場所です。猫が使う寝具やブランケットなどのペット用品を、普段から不衛生な状態にしているとダニの発生を招きます。家の中にいる他のペットからダニがうつるケースもあるため、多頭飼育の場合はさらに注意が必要です。
ホコリが多い場所は、ダニにとって繁殖しやすく、100%の確率でいると言われています。
暖かい季節はもちろん、冬でもこまめな掃除を心がけましょう。
人間
意図せず人間が猫にダニをうつしてしまう場合もあります。ダニは一般的に外から持ち込むケースが多く、次のような経路が考えられます。
- ホコリやチリなどのゴミから衣服や体、靴に付着する
- 他のペットと接触して受け取る
- 草木のあるところに外出し持ち込む
- 古い家具や、引っ越しした際の家具に付着する
家の衛生状態が悪いと、ダニが繁殖しやすくなり、猫に寄生されやすくなります。
人間が使用する寝具やソファを含む、猫との共有スペースは注意が必要です。
他のペット
猫以外の他のペットが、ダニの運び屋になるパターンもあります。すでに感染している動物がいれば、ペット同士が触れ合うことでダニがうつるからです。
猫と他のペットが共有する寝具やおもちゃからも、ダニが広がる可能性があります。
特に外に遊びに行く猫は、特に注意が必要です。外で寝ころんだり、草むらに入ったり、野生の動物と接触することもあるため、ダニや病気をもらう危険があります。
外に出たペットがいるならば、その子だけでなく、家の中にいるすべてのペットのダニ対策を行うことが大切です。
ダニが猫に寄生すると発症する病気
猫がダニに寄生されるとさまざまな病気にかかるリスクがあり、飼い主にとっても恐ろしい脅威です。中には猫だけでなく、人にもうつり重篤な症状を引き起こす病気もあります。ダニによる代表的な感染症は次の4つです。
- 猫ヘモプラズマ感染症
- Q熱
- ライム病
- 重症熱性血小板減少症候群(SFTS)
猫ヘモプラズマ感染症
猫ヘモプラズマ感染症は、細菌が寄生して発症する病気です。赤血球が破壊され、主に次のような症状が現れます。
- 貧血
- 発熱
- 食欲不振
- 歯茎や目の軟膜が白くなる
- 元気がない
ワクチンはないため、ノミ・ダニ予防薬を使用し、完全室内飼育で飼うことが推奨されます。
Q熱
Q熱は細菌が原因となっておきる感染症です。猫は軽い発熱で重症化することは少ないとされていますが、妊娠中の猫は死産や流産をしてしまいます。
人にも感染する病気で、突然の高熱・悪寒・頭痛・筋肉痛などの症状を引き起こします。人から人への感染はまれです。
主に病原体を含んだほこり等を吸入することによって感染するケースが多いようです。
対策としては、ダニにかまれないようにすることと、他の動物の接触に気をつけることが挙げられます。
ライム病
ライム病は細菌を保有したマダニにかまれることによって感染します。日本では北海道や長野での発生が多く報告されています。
猫には目立った症状は出ませんが、人にうつる病気です。ただし、人から人へうつることはありません。人が感染すると、次の症状が現れることがあります。
- 紅斑(こうはん)の出現
- 発熱・筋肉痛・関節痛・頭痛・けん怠感などのインフルエンザ症状
予防接種はなく、マダニとの接触を避けることが一番のポイントです。
草むらなどへは行かず、野山や河川敷に行く際は虫よけスプレーを使用しましょう。
重症熱性血小板減少症候群(SFTS)
重症熱性血小板減少症候群(SFTS)は、マダニをはじめとした吸血ダニにかまれることで発症する病気です。人にも感染し、死亡率が高い危険な感染症です。猫から人への感染も報告されています。
猫は年間を通してSFTSが確認されていて、死亡率も高いです。
>>【国立感染症研究所】国内の猫・犬の重症熱性血小板減少症候群の発生状況
猫が感染すると、食欲がなくなり黄疸・発熱・嘔吐といった症状が見られます。人に感染すると発熱・けん怠感・出血・下血・消化器に症状が出るのが特徴です。
アジアの広い地域で発見され、春から秋にかけて患者数は増加傾向です。近年、猫における重症熱性血小板減少症候群(SFTS)は増えており、2019年以降毎年100例を超えるケースが確認されています。
特効薬はなく、治療は対症療法が中心です。ダニにかまれないことが一番の予防です。
猫をダニから守るための対策
猫におすすめの効果的なダニ対策を3つ紹介します。
- ブラッシング
- 予防薬
- 掃除
ブラッシング
ブラッシングは、猫の毛に潜むダニを発見できたり、物理的に取り除くこともできる有効な方法です。定期的にブラッシングすることで、以下の効果が期待できます。
- ダニの発見と除去
- 猫の皮膚や毛の健康状態のチェック
- 毛玉の予防
正しいブラッシングは、猫のストレスを抑えつつダニの予防対策に効果的です。ブラッシングの回数は、猫の性格や毛の長さによって異なります。長毛種の猫は短毛種の猫より毛玉ができやすいため、1日1回ブラッシングをします。ブラッシングが苦手な猫は、無理強いせず少しずつ慣らしていきましょう。
ブラッシングを終えたら、抜け毛や毛玉を放置せず、ダニを繁殖させないようにします。万が一マダニを発見した場合は、無理に取ろうとすると、皮膚にかみついたダニの頭だけ残ってしまうことがありますので、無理にはがさず動物病院に連れていきましょう。
» 猫のブラッシグ方法
予防薬
ダニ対策に、予防薬を活用しましょう。予防薬の種類は以下の3つです。
- スポットオンタイプ
- 経口タイプ(錠剤)
- 首輪タイプ
製品を選ぶ際は、獣医師に相談するのがおすすめです。猫の年齢や、体重に合わせたものを選び、使用方法や投与間隔についても、獣医師の判断に従いましょう。
薬によっては、脱毛や赤みといった副作用が起こる場合もあります。猫が誤って薬をなめてしまった際は、おう吐や食欲不振といった症状が出る可能性も考えられます。猫に何らかの異常が見られた場合は、すぐに獣医師に相談してください。
>>猫のノミダニ薬 市販品の効果は病院薬やジェネリックと同じ?
掃除
日ごろの掃除は、ダニの発生や繁殖を抑えられます。ダニは、50℃以上20分間でほぼ死滅するからです。以下の掃除方法がおすすめです。
- 布団:天日干しをする
- 大型寝具:ふとん乾燥機やコインランドリーを使用する
- ソファ:ダニ除けの安全なスプレーを使用する
- 猫の寝具:丸洗いする
ホコリにもダニが100%生息しているため、部屋の隅や見えにくい場所も掃除機を使って清潔にします。ダニは湿度が高い環境を好むため、こまめに換気をするのも大切です。
ダニの生息が心配な場合は、専門家による害虫駆除やダニ取りシートなどの導入を検討しましょう。
まとめ
ダニは猫だけでなく、人間にも重大な脅威となる危険があります。ダニが原因で感染する病気の中には、命にかかわるものも存在するからです。
ダニの知識を深め、家の中に持ち込まない工夫やダニの繁殖を防ぐことは、猫と飼い主の健康を守るためにも大切です。
日ごろの掃除を丁寧に行うようにしましょう。
日常的なブラッシングなどで愛猫と触れあえば、ダニの発見にもつながり、病気のリスクを減らせます。
猫の様子が少しでもおかしいと判断したら、すぐに動物病院で獣医師の診察を受けましょう。
素敵な猫ライフが送れますように!