- 猫の爪切りが苦手
- 猫が爪切りを嫌がる
- 爪切りのタイミングが分からない
猫の爪切りは、飼い主にとっても猫にとってもストレスの多い作業です。
猫の爪切り、絶対しなきゃダメ?
答えはYESです。
この記事では、猫の爪切りが必要な理由と嫌がる猫の爪を安全に切る方法を解説します。
私が勤務する店舗はトリミングサロンも併設しているので、トリマーさんにしっかりコツやポイントを聞いてきました。
ぜひ最後まで記事を読んでいただき、ストレスなく爪切りにトライしてくださいね!
★著者のプロフィールが気になる方はこちらをチェックして下さい。
→ペット用品店勤務 TOMOMIの詳しいプロフィール
猫の爪切りが必要な理由
お外で生活している猫は爪切りなんかしてないじゃない!
屋外で生活する猫は、外を歩くことで道路などの硬い場所を歩くことがあるので爪が自然に削れたり、木に登り自然に研ぐ機会があります。室内で生活する猫は室内で限定的にしかできないので、飼い主が定期的に爪を切ることが重要なのです。
爪が伸びすぎると家具や壁、カーペットを傷つけるだけではありません。
爪が猫自身の肉球や皮膚に突き刺さって猫がけがをするリスクもあります。
カーテンや飼い主の服にひっかかり抜けなくなって爪が根本から丸ごと抜けてしまうケースもあります(特に親指)。
爪が長いと高い所から飛びおりた時にバランスを崩し、転倒やけがにつながる恐れもあります。
それに、爪切りができないと、もっとハードルが高いシャンプーなどのお手入れもできません…
定期的に爪切りを行い、猫が安全かつ快適に生活できるようサポートしてあげましょう!
猫の爪切りの手順とコツ
早速、猫にストレスを与えることなく安全に爪切りを行えるステップをご紹介していきます。
- リラックスさせる
- バスタオルで包む
- 肉球を押して爪を出す
- 後ろ足から爪の先を切る
- ごほうびをあげる
ステップ①リラックスさせる
猫にストレスを与えず安全に爪切りを行うためには、猫をリラックスさせることが重要です。リラックス状態の猫は比較的スムーズに爪切りを受け入れてくれます。以下のポイントに気をつけて、猫がリラックスできる環境を作りましょう。
- 静かで安心できる環境を準備する
- 遊んだり、なでたりしてリラックスさせる
- あらかじめ爪切りを見せ、匂いを嗅がせて慣れさせる
- 猫がリラックスしやすい時間帯を選ぶ
- 猫の好きなおやつやおもちゃを用意して穏やかな気持ちを保たせる
- フェリウェイで緊張を取っておく
フェリウェイは動物病院でも一般的に使われている、猫を落ち着かせるフェロモン成分だよ。こちらの記事でも紹介しているので参考にしてね!
ステップ②猫の体をバスタオルなどで包む
※暴れたりしない子ならこのステップは飛ばして問題ありません。
体をタオルなどで包むと、猫が落ち着きやすくなり、爪切り中に暴れるのを防げます。
- 飼い主のひざにタオルをひろげる
- 猫を抱っこして飼い主のひざ上に「へそ天」のポーズで寝かせる
- 猫の体全部をタオルで包む(顔だけ出ている状態)
顔だけ出ている状態に包みます。
手足もすべて包んで下さい。足先が出ないように!(しっぽは出ててもOK)
いわゆるミノムシや赤ちゃんのおくるみみたいなイメージです。
できれば抱っこしてる人、切る人と2人で分担できるといいわね
ステップ③肉球を押して爪を出す
いよいよ、爪を切っていくステップです。
ポイントは後ろ足から始めるということ!
飼い主としては、どうしても前足の爪が気になってしまうのですが、猫の顔より遠い後ろ足から始める方がストレスないのです(トリミングサロンも後ろ足から必ず始めます)。
- 猫の「後ろ足の片足だけ」タオルから出す
- 猫の肉球を優しく押して爪を露出させる
- 爪が十分に見えるまで肉球を押し続ける
- 猫にストレスを与えないように、正しい位置で押さえる
猫のキック力はかなり強いです。
両足出してしまうとキックされます。必ず片足づつタオルから出すようにして下さい。
爪の出し方は、肉球と第一関節あたりをギューッと押し出すイメージでやるとうまく出てきますよ。
ステップ④爪の先を切る
猫専用の爪切りを使い、白く透明な部分だけを切り落とします。
爪を見てもらうと、透明な部分とピンクに見える部分があります。
ピンクの部分は「クイック」と呼ばれ、血管や神経がある部分です。そこまで切ってしまうと出血してしまい、猫は痛がりますので注意しましょう。
爪切りの回数を減らそうとして欲張って切らないように!!
とがった爪の先2~3mm切れれば大丈夫です。
前足は5本、後ろ足は4本よ。前足の親指を忘れがちだから気をつけてね
手早くすませることが大切です。迷わずスパッと切ってください。
誤って出血させてしまったら、落ち着いて止血しましょう。
このパウダーは動物病院やトリミングサロンでも使われている止血剤です。患部に塗って5~10秒間圧をかけるだけで驚くほど迅速に止血できるので常備しておくのもおすすめ。
ステップ⑤ごほうびをあげる
猫のほとんどは爪切りに少なからずストレスを感じます。
爪切り後にごほうびをあげると、ポジティブな経験として記憶してもらえます。爪切り後はストレス解消に役立つ下のようなふれあいを持ちましょう。
- おやつをあげる
- 優しくなでる
- たくさんほめまくる
- 猫が大好きな遊びを一緒に楽しむ
猫がリラックスできるよう、おもちゃやマタタビを用いるのもおすすめです。次回の爪切りがスムーズに進むよう、前向きな経験を積ませてあげましょう。
» 猫との遊び方
猫が爪切りが難しい時の対処法
上記の基本ステップをトライしたけど逃げられた…
猫に嫌われちゃいそうで心配…
猫が爪切りを嫌がるのはよくあることです。
スムーズにいかなかった場合、以下の方法を試していきましょう。
- 一度に全部切ろうとしない
- 猫が活発な時間帯は避ける
- エリザベスカラーを使う
- 頭の上にシールを貼る
- 猫用マスクを使う
- 洗濯ネットに入れる
- 首の後ろをつまみながら切る
- 体勢を変えてみる
- プロに依頼する
一度に全部切ろうとしない
猫が爪切りを嫌がる場合、一度に全ての爪を切るのではなく、数本だけにとどめておきましょう。猫のストレスを減らし、徐々に爪切りに慣れさせるためにもおすすめの方法です。爪切りの時間を短くするなどして猫の気持ちを尊重すると、猫との信頼関係を築きやすくなります。
こういう時は必ず後ろ足から…とこだわらないで、やりやすい箇所からでOKです。
誰だって最初は初心者。やりやすい事から始めていけば徐々に慣れるから大丈夫!
猫が活発な時間帯は避ける
爪切りをスムーズに行うために、猫が活発な時間帯、特に朝や夕方は避けましょう。活動的な時間帯に爪切りを行うと、猫がストレスを感じやすくなったり、抵抗感を強めたりすることが考えられます。
猫が眠そうにしているときやリラックスしているときを見計らって、爪切りを行うのがおすすめです。リラックスした状態の時であれば、爪切りに対する不快感が軽減され、飼い主も安全に爪切りができます。
エリザベスカラーを使う
エリザベスカラーを使うのも効果的です。
爪切りの手順でご紹介した「タオルで包む」のステップの後にエリザベスカラーをプラスしてください。
猫は「怖いものを見る」のが苦手な子が多いです。
エリザベスカラーを使い、猫が自分の爪を切られるのを見えないようにするのです。
人間の注射と同じね。わたし絶対、目をそらすもん
エリザベスカラーは、噛む子にも有効なアイテムですよ。
爪切りの時に使うエリザベスカラーは色付き、大き目のものを選んでください(透明では意味がありません)。
頭の上にシールを乗せて切る
猫の爪切りが難しい時は、頭の上にシールを乗せる方法も効果的です。
粘着コロコロテープなどを猫の頭の上に乗せましょう。
爪が伸びすぎていたので朝イチで爪切り
— ヘーゼルさんと@猫垢 (@Hazel_catfamily) February 18, 2023
粘着性のあるものを頭に付けると切りやすいと聞いたので、粘着性の弱いテープを乗せたら本当に大人しい!!!
普段はもっとクネクネして逃げ出すのに!
爪切りを終えたらご褒美のおやつをたんまりあげました😅
#猫のいる生活 #猫の爪切り #猫のいる暮らし pic.twitter.com/txYgD8K49T
えーっすごい!猫の頭にテープ貼ると爪切りが簡単になるってやつやってみたんだけど、本当にピタッと大人しくなった!ついでに足の裏の毛もカットできた(笑)
— 秀 (@hide_pau) March 14, 2022
身体に貼ったら剥がそうとバタバタするのに何でだろう…?飼い主の両手が前にあるのに頭の上から誰かが触ってるって混乱するのかな🤔
キジトラの爪を切ろうとしたら旦那が「猫の頭にテープ貼るとおとなしくなるらしい」と言うので養生テープ貼ってみたら確かにおとなしくなったwww
— 三月兎(手洗いうがい疫病退散) (@marchrabbit0615) January 11, 2023
普段は爪切りに限らず抱っこすると唸って暴れる凶暴ちゃんなのにwww
ググったら動画とか結構出てたw#キジトラ育児 pic.twitter.com/I4uklz461K
シールを貼られた猫は固まってしまう子が多いので、その隙に爪を切ることが可能です。
シールは簡単に取り外せるものを選び、ストレスを感じさせないように短時間で行いましょう。
猫用マスクをする
目隠しするとおとなしくなる猫の習性を利用した「猫の爪切り専用マスク」があります。
この画像、衝撃的ですよね!?
初めて見た時に思わず笑ってしまいましたが、これは画期的だと思い、我が家でも取り入れてます!
洗濯ネットに入れる
狭い場所にいると落ち着くのも猫の習性のひとつなので、それを活用します。
目が粗めの洗濯ネットに猫を入れ、網目から猫の爪先を出して切ります。
ネットが大きすぎると猫を制御しづらいし、小さすぎると猫は苦しくなってしまいますので適切な大きさを選びましょう。
ネットの大きさは一般的な大きさの猫なら60センチくらい。大きい子なら体長プラス20~30センチを目安に選ぶといいよ!
猫専用のネットを用意しておくと、シャンプーや災害時、通院にも非常に役立ちます。
普段使う洗濯ネットでもいいですが、兼用にすると毛が絡まって落ちない…という悲しい事態にもなりので、猫専用をひとつ用意しておくのがおすすめです。
首の後ろをつまみながら切る
首の後ろをつまみながら爪を切ると、母猫が子猫を運ぶ時の感覚を再現できるため、猫をコントロールしやすくなります。
猫が痛そうで出来ないよ…
じっとする猫を見ると痛そうに見えるかもしれませんが、実は猫は首の後ろをつままれても痛くありません。
心拍数が下がりリラックスした状態になることが実験結果で分かっていますので安心して行って下さい。
なんと!
母猫を再現されて爪切りを実践されているすごい方がいらっしゃいました!
猫の爪切り
— かずっちょ (@kazuccho_sg) May 2, 2023
うちのちびは頭にテープ貼っても大人しくならないので首を優しく噛んであげながら切るのが一番良いです pic.twitter.com/QO51D30cQQ
体勢を変えてみる
へそ天の体勢にされるのが苦手な猫もいます。
爪切りだけでも嫌なのに、さらに苦手な体勢にさせられるのは猫にとって苦痛でしかありません。
飼い主さんが体育座りをし、膝(ももの付近)に猫を抱える体勢でトライしてみましょう。猫は前かがみになり、お腹を丸めた型になるので緊張が緩まる可能性があります。
敵にいつ襲われるか分からない体勢なので本能的に嫌がる子が多いよ
道具を変えてみる
はさみの「パチンッ」という音が怖いから爪切りが苦手という子も多いです。
爪を切るだけなので絶対に痛みはないのですが、猫にとっては、その音じたいにも恐怖を感じてします。
切れ味の悪いハサミで時間をかけて切られているのもストレスに感じます。
繊細な猫さんには、スパッと切れ味は良いけれど、静音な爪切りを選んであげると良いでしょう。
スパッと切れると時短にもなるので猫への負担も少なくなります。
嫌なことはさっさと終わらせたいね…
私も以前は違うのを使っていたんだけど、上のハサミにしたら切れ味の良さと音の違いにびっくり。切った爪の断面がギザギザしないのも感動!道具ひとつで飼い主の快適さも全然違います!!
プロに依頼する
飼い主さんが大怪我してしまう等、どうしても爪切できない… というケースも残念ながらあります。
猫にとっても大きなストレスになってしまいますね。
その場合は、プロに爪切りを依頼することもアリだと思います。
私の勤務するお店に併設のサロンにも猫の爪切り依頼は多いよ。
エリアにもよるけれど、手足で1000円以内で切ってくれるよ。
動物病院に診察に行く際には、毎回、爪切りもあわせてお願いするのもいいですよ。
我が家は長毛ミケさんの爪切りができないので毎回お願いしてます。
病院はトリミングサロンよりも少し料金高いですが、1000円台でおさまるところが多いと思いますので検討してみましょう。
猫の爪切りの頻度
爪切りは、猫の安全と健康を守るために定期的に行う必要があります。爪切りの頻度は、猫の年齢や活動量、生活環境によって異なるため、定期的にチェックして最適な頻度を見つけましょう。
子猫
子猫の爪は柔らかく成長も早いため、頻繁に爪切りを行う必要があります。
爪切りに慣れさせるためにも、1〜2週間に1度を目安にしましょう。
子猫の段階から爪切りの習慣をつけると、成猫になってからの抵抗感の軽減に効果的です。
成猫
成猫の爪切りは、おおよそ2週間に1度がよいとされています。
室内で飼われている猫の場合、硬い素材に触れる機会が少なく爪が伸びやすいため、頻繁に爪切りが必要です。一方、外で生活する猫は歩行時に地面で爪を研ぐため、爪切りの必要性が下がります。猫の活動量や爪の成長速度に合わせて爪切りの頻度を調整しましょう。
シニア猫
シニア猫の爪切りは、3〜6週間に1度が目安ですが、個々の状態に応じて行う必要があります。
老齢猫は運動量が減るため、爪が自然に削れにくくなります。高齢になると爪の成長速度も遅くなり、爪がもろくなりやすいため、爪の伸び具合や形状の変化に注意しましょう。
猫が関節症を持っている場合、無理な体勢で爪切りをしないよう心がけることも大切です。爪を切りすぎると、割れたり痛みを感じるため、切りすぎないよう慎重に扱いましょう。
爪切りが苦手な猫のためのトレーニング方法
爪切りが苦手な猫には、トレーニングをして徐々に慣れてもらいましょう。
嫌がる猫に爪切りを定期的にするとストレスを感じやすく、飼い主との信頼関係にも影響を与えかねません以下の方法で少しずつ爪切りに慣れさせましょう。
- 足先を触ることに慣れさせる
- 爪出しの練習をする
- ポジティブな経験と結びつける
爪切りがある風景を当たり前のものにする
「さあ、爪切りの時間よ!」と、飼い主さんがやる気マンマンで得体のしれない爪切りを持って挑んできたら、猫は「何か怖い事されそう」と、ひるんでしまいます。
警戒心を与えないために、爪切り用品があることが当たり前な環境を作りましょう。
爪切りを猫が普段から目につく、くつろいでいる場所に置いておけば抵抗感も薄まります。
爪切りの近くでおやつをあげてみたり、まずは爪切り自体に慣れてもらいましょう。
足先を触ることに慣れさせる
猫の爪切りをスムーズに行うためには、足先を触ることに慣れさせることが重要です。日常のスキンシップの一環として、少しずつ足先を触り、猫がリラックスできるようにしましょう。急に触ると驚いてしまうので、優しく、短時間で行うことがポイントです。
爪切りをしないけど、爪切りで足先をツンツン触ったり、匂いをかがせて怖くないものと認識させ、慣れさせておくのも効果的です。
猫がリラックスできる環境を作り、優しく足先を触ります。初めは数秒間だけ触り、猫が慣れてきたら徐々に触る時間を延ばしていきましょう。猫が嫌がった場合には無理強いをせず、猫のペースに合わせて進めることが大切です。
爪出しの練習をする
爪出しの練習も、猫の爪切りをスムーズに行うために欠かせません。猫の足を優しく握り、軽く押して爪を出す動作を段階的に教えます。猫がリラックスしている時を選び、無理に力を加えないよう注意しましょう。最初は短い時間で練習を行い、徐々に時間を延ばします。毎日繰り返すことで、猫は爪出しに慣れていきます。
ポジティブな経験と結びつける
猫が爪切りを嫌がらないようにするためには、ポジティブな経験と結びつけることが重要です。爪切りの後には、ご褒美を与えたり、遊びの時間を設けたりすると、猫にとって爪切りが楽しいものだと感じられます。爪切りの前後にリラックスできる環境を整えることも、猫がより安心して爪切りに臨むために効果的です。
まとめ
爪切りは猫のけがを予防するだけでなく、家の中の傷みを防ぐためにも不可欠なケアですので、適切な頻度と方法で行いましょう。
猫がリラックスしやすい時間帯と方法を選ぶと、抵抗感を軽減できます。
爪切りをする際は、猫がリラックスした状態で始め、肉球から優しく爪を出し、先端を慎重に、そして迅速に切ります。
一度に全ての爪を切ろうとしなくて大丈夫です。万が一猫が爪切りを嫌がった場合は、数本にとどめましょう。数日かけて切る方も多いですよ!
猫の爪切りを心地よいケアの時間にするため、安全に切るコツを押さえてトライしていきましょう!