猫と生活しているけど適切な室温がわからないと悩む飼い主さんは多いです。
猫にとって快適な室温は、おおよそ21〜28℃とされます。(本文でくわしくご紹介していきます)
猫は暑さに比べて寒さに弱く、体温調節も苦手なため、飼い主さんが適切な室温の環境を作ってあげる必要があります。
この記事では「季節別」「種類別」に猫が快適に過ごせる室温と管理方法について詳しく解説していきます。
猫との生活で室温管理の不安が解消されますので、最後まで読んでみてくださいね。
» 猫の飼い方を解説
筆者のプロフィールが気になる方はこちらをチェックして下さい。
→ペット用品店勤務 TOMOMIの詳しいプロフィール
【夏】猫にとって快適な室温
猫にとって快適な室温は季節によって異なります。猫は体温調整が苦手なため、飼い主さんが積極的に環境を整えてあげる必要があります。夏場は室温を約26〜28℃、冬場は21〜25℃に保つのが理想的です
夏の室温
夏場の理想的な室温は26〜28℃程度です。
猫も熱中症の危険があります。
猫は汗を体から出すことができず、肉球からしか出ません。
夏場の猫は「頭から全身ぴったりとラップを巻き、さらに毛皮を着ている状態だと想像してごらん」と獣医師から聞いたことがあります。
最悪な場合は命にかかわる事態になりますので、積極的にエアコンを使い、適切な温度と湿度を維持してあげることが非常に重要です。
高温になり過ぎると、熱中症だけではなく次のようなリスクがあります。
- 脱水症状
- 呼吸困難
- 食欲不振
夏場だけなく、春先も高温が予想される環境では注意が必要です。
冷房や換気、水分補給などに気をつけましょう。
室内に直射日光が入ると温度が急激に上昇するため、カーテンやブラインドを使って日差しを遮るのも大切です。
子猫やシニア猫(老猫)、治療中の猫がいる場合は特に一定の室温保持が大切です。
室内の温度が適切かを確認するために、室内に温度計を設置しましょう。ペット専用のものは管理がしやすくおすすめです。
猫の暑さ対策に関するよくある質問
飼い主さんからいただく、猫の暑さ対策についてのよくある質問をご紹介します。
- 猫が暑いと感じているサインは?
- 熱中症になったときの症状と対策は?
- 電気代が気になる
- エアコン以外の熱中症予防対策
猫が暑いと感じているサインは?
猫も熱中症になります。人間と同じで命にかかわります。猫が暑いと感じるときに示すサインを確認しておきましょう。
- 過度に舌を出してハアハアと息をする
- 常に水を飲む
- 活動性が低下し、休息の時間が増える
鼻の乾燥や冷たい床、タイルの上で体を伸ばして寝るのが多くなるのも暑さを感じているサインです。
肉球が通常よりも暑くなり、食欲が落ちるケースもあります。細かいサインを見逃さないことが猫を守るために不可欠です。
熱中症になったときの症状と対策は?
熱中症になったときに現れる症状を知っておきましょう。
無気力や異常な呼吸、ぐったりとした様子があります。高体温や意識障害などの重大な症状が現れる場合もあります。以上の症状が見られた場合、迅速な対応が必要です。熱中症の症状が現れた場合、下記の対策をしてください。
- 猫を涼しい場所に移動させ、体温を下げる
- 体を水で濡らすか、冷たいタオルで拭く
- 水分を十分に与えて、体内の水分バランスを回復させる
- 自力で水分を取れない場合は、直ちに動物病院での診察を受ける
熱中症防止のためには、日常的に室内の温度と湿度を管理し、適切な環境を保つのが大切です。熱中症の症状かも?と感じたら、迷わずに動物病院へ連れていきましょう。
電気代が気になる
電気代高いからクーラーかけたくない。野良猫だって平気じゃない?
猫は暑さより寒さに弱いといわれていますが、近年の日本の夏は猫にも危険なレベルです。猫も熱中症になり、命の危険もあります。
先述しましたが、猫は体から汗を出せないので、夏場の猫は「人間で言えば、頭から全身ぴったりとラップを巻き、さらに毛皮を着ている状態」だと獣医師から聞いたことがあります。想像しただけで辛いですね。
体調を崩して病院に行くことになったら、電気代よりはるかに高くなります。大切な猫ちゃんのためにクーラーを入れましょう。
エアコン以外の熱中症予防対策は?
猫を熱中症から守るためには迷わずエアコンを使用されることを推奨しますが、使用できない場合の対策をご紹介します。
- 部屋のカーテンやブラインドを閉めて直射日光を遮断
- 冷感効果のあるアイテムの使用
- 扇風機やサーキュレーターを活用して室内の空気を循環
冷感効果のあるアイテムは、クールマットやアルミ板などがあります。猫が直接体を冷やすことができるので大変人気です。
冷たい水を凍らせたペットボトルをタオルで包み、猫が寝る場所の近くに置いておく方もいますが、水滴が出てくると猫は嫌がりますので注意が必要です。
猫はクーラーが嫌いだからと、常に扇風機やサーキュレーターだけ使う方もいますが、あくまで室内の空気を循環させるためのアイテムですので注意が必要です。応急処置アイテムと認識しましょう。
猫の水分補給は重要です。新鮮な水を提供し常に飲めるようにしておきましょう。ウェットフードを多めにすると、自然と水分が取れます。
【冬】猫にとって快適な室温
猫は寒さに弱いので気を配ってあげる必要があります。
理想的な室温は21〜25℃とされています。
室内の温度は少なくとも20℃を下まわらないように保ちましょう。
成猫は暖を求めて布団にもぐったり、自分で暖かい場所を探すことができるので、必ずしも部屋全体をあたためる必要はありませんが、子猫や高齢の猫、体調が弱い猫の場合は低温にならないよう一定の室温保持をしてあげましょう。
低温が続くと、次のようなリスクがあります。
- 脱水症状(水飲まない)
- 膀胱炎
- 結石症
- 咳(呼吸器疾患)
寒くなると、おしっこトラブルで来院する猫が急増するといいます。
寒いと猫はますます水を飲まなくなる子が多く、尿が濃くなり結石ができてしまうからです。また、トイレの場所が寒いとトイレを我慢することが多くなり膀胱炎になってしまうのです。室温だけに気を取られがちですが、猫のトイレがある場所の温度にも気を配ってあげましょう。
風邪や呼吸器系の疾患にもかかりやすくなります。毎冬、咳が出る猫は乾燥が原因かもしれません。湿度を50~60%に保ってあげることも大切です。
適度に空気の入れ替えを行って温度・湿度を調節し、快適な室内環境を維持しましょう。猫が室温が暑いと感じた時、涼しい場所を求めて移動できるよう、複数の涼しいエリアを設けておくのも大切です。猫が自らの体感に合わせて最適な場所を選べるようになり、寒さを乗り切ることができます。
暖房器具を使用する際は、猫が直接触れないように安全対策を施します。猫が安心して暖を取れる環境を整えましょう。
猫の冬場の冷え対策
寒い季節には、猫も人間と同じように冷えを感じるため、適切な対策をしてあげましょう。
- 暖かい寝床を提供する
- 日光浴できるスペースを確保する
- 湿度の管理をする
- 運動で体温を保つ
- ブラッシングする
暖かい寝床を提供する
寒い季節には、猫が安心して暖を取れる寝床を用意してあげましょう。暖かい寝床は猫の健康を守るだけでなく快適な環境となります。柔らかく暖かい毛布やクッションを寝床に置くことで猫は自ら体温を保ちやすくなります。
猫は毛があるので自分で気づきにくいのですが、電気毛布で低温やけどしていることがあります。人間と共同で使うなら、人間が暖かくないと感じる温度が適温なので、一番弱い温度で使用しましょう。
安全面や人間の快適性を考慮すると、猫専用に用意してあげるのがベストな選択です。
寝床は家の中で暖房が効いている部屋や、日当たりの良い窓際の暖かい場所に設置してください。猫が好む箱やドーム型のベッドが人気です。猫用ベッドは、猫が体を丸めて寝るのに適した形状で、保温性が高くなっています。
日光浴できるスペースを確保する
日光浴できるスペースの確保も重要です。日光は猫の気分を良くするだけでなく、体温を自然に上げます。猫の毛は温度を蓄熱できるといわれていますので、日中、体にたっぷりの太陽を体に蓄えています。スペースを設ける場所は日光がよく当たる窓辺が最適です。猫が快適に過ごせるようクッションやマットも配置してください。網戸やバリアがきちんと閉まっているか確認しておきましょう。
湿度の管理をする
室温ばかりに気を取られがちですが、実は室内の湿度を適切に保つことも重要です。
冬は呼吸器系や皮膚のトラブルで通院する子も増えます。暖房器具で猫の皮膚が乾燥し搔きむしってしまったり、呼吸器の弱い子は咳や気管支炎などを起こします。
猫の健康を維持するために理想的な湿度は50〜60%とされています。
加湿器で室内の湿度を適切に保ってあげましょう。
加湿器がない場合は濡れたバスタオルを部屋にかけておくことも有効です。
湿度計を設置して常に湿度レベルをチェックすると、環境の変化に応じて適切な対策ができます。
ブラッシングやマッサージをする
猫の体をブラッシングやマッサージすることも冷え対策になります。
ブラシで猫の皮膚を刺激することで血行が良くなり体があたたかくなります。毛と毛の間にもふんわりと空気が入ることで暖かい層を作ることができます。
人間も猫も大切な臓器を守るために優先的に熱が使われます。そのため、耳、足裏、しっぽの先のような末端が冷たくなっていることがあります。この場所を触られるのを嫌がる子もいますが、ぜひマッサージしてあげましょう。老猫(シニア猫)で関節トラブルが目立つようになってきた子にもマッサージは大変有効です。
運動で体温を保つ
猫は活動することで、代謝が活発になり、体温が自然と上昇します。適度な運動には、おもちゃを使ったり、猫が好む遊びを取り入れて楽しみながら体を動かせるように促します。運動の量は、猫の年齢や健康状態に応じて調整するのが大切です。定期的な運動は猫のストレス解消にも効果があります。さらに、猫は運動(狩り)の後は喉が渇き、水を飲む子が多いので飲水量を増やせるメリットもあります。
【猫種別】猫にとっての快適な室温
長毛種、子猫、シニア猫は体温の調節が少し異なるため、それぞれに合わせた環境を整えてあげましょう。
長毛種
長毛種の猫は寒い国が原産であることがほとんどです。
そのため厚い毛皮を持っていて寒さには比較的強いです。
冬は毛皮に助けられますが、逆に夏場は体内に熱がこもりやすくなります。
夏場は熱中症のリスクが高まるため、特に適切な対策をしてあげましょう。
理想的な室温は以下のとおりです。
- 夏場 25〜27℃
- 冬 21 ~24℃
通風と涼しい場所の確保も重要です。窓を開けて空気の流れを作りましょう。冬でも猫が涼める特定のスポットを設けると良いです。高湿度も猫の不快感につながります。除湿機能を備えたエアコンの使用や、除湿器の設置がおすすめです。
子猫やシニア猫
子猫やシニア猫は筋肉量や運動量が少ないため、自分での体温調節がむずかしいです。過度の暑さや寒さには非常に弱いため、特に気を配ってあげることが大切です。
夏場は室温を約26〜28℃、冬場は23〜25℃に保つのが理想的です(成猫より少し高くします)。
寒い時期になると咳が出る子も多いですが、人間と同じ様に猫も呼吸器が乾燥します。猫は50~60%程度の湿度が快適ですのであわせて管理をしてあげると良いでしょう。
ケージに入れている場合は直射日光、エアコンの風が当たる場所は避けましょう。
シニア猫はあまり動かない子も多いので、猫用ヒーターや温かい寝床を用意し、体温が低下しないように対策を講じましょう。
猫に留守番させるときの室温管理
猫に留守番をしてもらう時は密室になるので、適切な室温でないと体調を崩してしまう可能性があります。安全で快適に過ごせるように室温管理をしていきましょう。
- 長時間留守番させるときの室温設定
- 留守番中の熱中症対策
- 留守番中に役立つ室温調節グッズ
- 留守番中に起こりうるトラブルと対処法
長時間留守番させるときの室温設定
長時間家を空ける際は、猫が快適に過ごせる室温の設定が重要です。夏場はエアコンを26〜28℃に設定し、冬場は21〜25℃に設定しましょう。猫が熱中症や低体温症になるのを防げます。室温が自動で管理できるようにタイマー機能を活用すると、外出中も室温が一定に保たれるので安心です。
室温モニターを設置すれば、外出先からスマートフォンなどでリアルタイムに室温を確認できます。室温が設定した温度以上になったら、エアコンがONという感じに設定できるので熱中症対策として非常に有効です。
留守番中の熱中症対策
留守番中の熱中症対策は、猫が安全に過ごす上で非常に重要です。夏場は温度管理が必須となります。対策方法として、エアコンや冷房を適切な温度で設定することが挙げられます。電源が切れないようにタイマーやスマートホーム機器を活用するのが効果的です。
室内のカーテンやブラインドを閉じて直射日光を遮るのも、部屋の温度上昇を防げます。
いつでも水を飲めるように新鮮な水を置くことも大切です。誤ってこぼしてしまったら飲めなくなりますので、複数の器を用意しておくのがおすすめです。
» 猫との生活でエアコンを使うポイント:季節別の適切な温度を解説
留守番中に役立つ室温調節グッズ
留守番中も猫が安心して過ごせる環境を作るため、室温調節グッズを取り入れてみるのもおすすめです。
たとえば、スマートサーモスタットを使えば、外出先からでも室温を調整できるので室温を適切に管理することができ、猫の安全と快適さを保つことができます。
特定の条件で自動的に作動するため、猫が寒さや暑さを感じることなく快適に過ごせます。
冷温ヒーター付きペットハウスなら1年を通して使え、経済的なのも嬉しいポイントです。
留守番中に起こりうるトラブルと対処法
留守番中のトラブルへの対処は、猫だけではなく家の安全を守るためにも必要不可欠です。窓やドアが開くことによる脱走や電気製品の故障による火災、水漏れ、猫の体調不良に注意しましょう。
トラブルから猫を守るために、留守番前の準備と確認が重要です。以下の対策を行いましょう。
- すべての窓とドアがしっかり閉じられているかを確認
- 不要な電気製品はコンセントから抜く
- 水道の蛇口がきちんと閉められているかをチェックする
適切な準備とチェックを行い、猫の安全を確保しましょう。
» 猫の安全のために!脱走を防ぐ方法を解説
まとめ
猫の健康を保つためには、適切な室温管理が重要です。
猫が快適と感じる室温は季節や猫の年齢、種類によって理想的な室温は異なりますが、夏は26~28℃、冬は21~25℃を目安にすれば大丈夫です。
猫は暑さより寒さに弱いですが、近年の日本の夏は猫にも危険なレベルですので、特に熱中症対策に気をつけ、積極的にエアコンを使用しましょう。冷却マットなどを利用するのも効果的です。
お留守番をしてもらう時には暑すぎないか寒すぎないか気になりますね。
適切な室温設定や留守番中に役立つ室温調節グッズを取り入れながら調整していきましょう。
猫が夏は涼しく、冬は暖かく過ごせるようにしっかり対策をしてあげましょう。