忙しい日々の中で猫のお世話をする飼い主さんにとって、自動給餌器はたいへん便利なツールです。
とは言え、自動給餌器を正しく使用するためには、メリットとデメリットの両方をよく理解しておくことが大切です。
この記事ではショップ店員の私が、自動給餌器のメリットとデメリット、選び方のポイントを詳しく解説します。
最後まで読んでいただくと、自動給餌器が気になっているけれど、
実際のところどうなの?猫の食事管理はほんとに楽になるの?
という疑問が解消されます。
実際に売り場にいる筆者の私が、自動給餌器を導入したけど、こんな事が失敗だった…というお客様の生の声も紹介していきます。
愛する猫さんと豊かな生活を送りましょう!
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猫用自動給餌器とは
猫用自動給餌器は、飼い主さんが家にいない時でも猫のご飯を自動で管理できる、とっても便利なツールです。
特定の時間を設定すれば自動でご飯が与えられるため、飼い主さんの留守中でも猫は定時にご飯が食べられるようになります。自動給餌器は電池や電源アダプタで動作します。
1日にフードを与える回数や量の設定も可能で、猫の健康管理にも非常に役立つツールです。自動給餌器はドライフード専用のものから、ウェットフードにも対応するものまでさまざまなモデルが販売されています。
スマホで管理できたり、遠隔操作ができるモデルもあるので、猫の食習慣や飼い主さんのライフスタイルに合わせた選択が可能です。
猫用自動給餌器のデメリット
猫用自動給餌器は多くのメリットがある一方でデメリットも存在するため、使用前によく理解しておく必要があります。デメリットについて詳しく解説します。
- 猫の変化に気付きにくくなる
- 一般的なフード皿より高額
- 故障することがある
- コミュニケーションの時間が減る
- 衛生面に気をつける必要がある
- 猫のストレスになることもある
猫の変化に気付きにくくなる
自動給餌器を使用していると、猫の体調変化に気づきにくくなる点に注意が必要です。
自動給餌器によって決められた量が定時に供給されるため、飼い主さんが猫の食事状況を直接確認する機会が減ります。
猫がいつ、どれだけ食べたかの把握が難しくなり、猫の健康状態に関わる重要なサインを見逃す可能性があるのです。
食べ残しが多い場合、自動給餌器の機能不全によるものか、猫の健康問題に起因しているのかを判断するのが難しい場合があります。
対策として、自動給餌器を使用している場合でも、定期的な体重測定や健康チェックは欠かさないようにしましょう。
一般的なフード皿より高額
自動給餌器は一般的なフード皿より高額です。
平均して1~2万円台のモデルが多いですが、高性能、多機能のモデルを選ぶと高額になりやすいです。
安いから無名の海外メーカー製品を選んだら故障やトラブルが出てしまった…
最初から信頼できる国内メーカーの製品を購入しておけば良かった…という声も多いです
急に故障することがある
自動給餌器は便利ですが、急に故障することもある点には注意が必要です。故障の主な原因として以下が挙げられます。
- 電子部品やモーターの故障
- 電源トラブルやバッテリー切れ
- 製品の質や使い方
電化製品ですので、故障により予期せぬ停止が起こる可能性はあらかじめ理解しておく必要があります。
故障やトラブルを防ぐためには定期的なチェックやバッテリーの交換が重要です。製品の質や使い方によっては、頻繁な交換が必要になる場合もあります。
自分で故障やトラブル処置が難しい時は、専門のサポートが必要です。緊急時に迅速なサポートが受けられるよう、メーカーのアフターサービスやサポート体制を確認しておくことが大切です。
使用を開始する前に、自動給餌器が設定通りの量を正確に出すかをテストしましょう。定期的に自動給餌器の計量の精度を確認し、故障による量の変化がないか見守る必要があります。
コミュニケーションの時間が減る
自動給餌器を使用すると、飼い主が猫に直接ご飯を与える機会が減少し、コミュニケーションの時間が減る恐れがあります。
猫が飼い主を「ご飯の提供者」として認識しなくなると、飼い主と猫の絆は深まりにくいです。
なんだかんだ言っても、ご飯をくれる人が一番好きだからな
猫の日常の様子を観察する機会も少なくなり、健康状態や行動の変化に気づきにくくなる可能性があります。
飼い主との絆が弱いと、猫がストレスや孤独感を感じる原因となりかねません。
対策として、1日に1回は手動でご飯を与える、時々おやつを手で与える、おもちゃで沢山遊んであげる等の直接的なコミュニケーションを取りましょう。
衛生面が心配
購入してきたフード袋は空になれば捨てますが、自動給餌器の場合、タンクにフードをつぎ足していくので、汚れが蓄積していくことになります。
衛生状況によっては、湿気と結合してカビが発生していた!なんてケースもあります。こうなると猫の健康を害する恐れがあるため注意が必要です。
カビや細菌の繁殖を防ぐためには、こまめな手入れが不可欠です。
多くの自動給餌器はタンクだけ取り外せて丸洗いできたり、分解ができて細かく洗えるものもあります。
清掃の手順が複雑になると清掃がおっくうになりがちですので、手軽に掃除できるタイプを選ぶと良いでしょう。
清掃の目安は1か月に1回程度です。
猫のストレスになることもある
猫の性格によっては、自動給餌器の使用にストレスを感じてしまうこともあります。
最初は自動給餌器に警戒しますが、大好きなご飯が出てくると分かれば次第に抵抗なく使用してくれる子がほとんどです。
しかし、2週間以上経っても以下の様子が見られる場合はストレスを感じていると判断しても良いでしょう。
- フード供給音に過剰に反応する
- 自動給餌器自体に警戒心・敵対心を抱く
- 自動給餌器から離れた場所で食べることを好む
- 食欲が低下する
- 体重の減少がある
猫用自動給餌器のメリット
猫用自動給餌器のメリットは以下のとおりです。
- 飼い主の生活の利便性が向上する
- 食事のリズムが整う
- 旅行や出張時に役立つ
飼い主の生活の利便性が向上する
自動給餌器を導入すると、多忙な日々を送る飼い主さんでも生活の利便性が大きく向上します。
飼い主さんはご飯の時間を気にする必要がなくなります。夜間でも自動で与えられるため、猫がご飯を欲しがって飼い主さんを早朝から起こすなど、睡眠を妨げたりすることがありません。
スマートフォンアプリを通じて遠隔操作が可能なモデルもあり、外出先からでも食事の管理ができます。突然の残業や予定外の外出があっても、遠隔操作でご飯与えることができるので、猫のご飯の心配がなくなります。
飼い主さんの生活スタイルに柔軟に対応できるため、日常生活の質が向上する点は大きなメリットです。
早朝に起こされなくなったのが一番嬉しい!というお声が多いです
食事のリズムが整う
自動給餌器を使うと定時に自動でご飯が提供されるため、猫の食事のリズムが整います。食事のリズムが整うと、食べムラや空腹による過食を防ぎ健康的な生活を送りやすくなります。
一気食いによる嘔吐が減った!という声が多いよ
ご飯の量も自動で調節されるため、食べ過ぎも防げます。
飼い主の不在時でも猫の食事管理をしっかりとサポートできる点は嬉しいメリットの1つです。飼い主が忙しい日でも、安定した食事が可能です。
» 猫の適切なご飯の量を解説
旅行や出張時に役立つ
自動給餌器を使用すれば、旅行や出張で飼い主さんが家を空けている間でも、猫の食事管理をしっかり行えます。
自動給餌器の設定機能を利用すると、猫は不在時でも定時にご飯が食べることができます。
カメラや通信機能などによる遠隔監視が可能なモデルなら、旅行先からスマートフォンを使って猫の様子の確認も可能です。
外出先から愛猫の姿を見られるのも安心だし嬉しいね!
コンセントと電池を併用できるモデルも多いので、仮に停電になった場合でも電池で稼働して問題なくご飯を提供できます。自動給餌器は飼い主さんが不在でも猫の健康と安全を守るのに有効なツールになり得ます。
猫用自動給餌器を選ぶ時に注意したいポイント
猫用自動給餌器はデメリットよりもメリットの方が多く、猫の健康と飼い主の利便性の向上がはかれます。
ただし、適切なものを選ばないと便利に使えないことに注意が必要です。
「デメリットではないけれど、ここが盲点だった…」というお声をもとに、自動給餌器を導入するなら注意しておきたいポイントをお伝えしていきます。
- 置く場所の確認
- 消音機能
- サイズや形状
- いたずら防止
- 電源の種類
- 掃除のしやすさ
- パーツのみ購入できるか
- アフターサービス
置く場所を確認しておく
今まで猫がご飯を食べていた同じ場所に置くのが理想ですが、自動給餌器はコンセント口の近くや壁面に置きたい飼い主さんが多いです。
置く場所が猫にとって落ち着かない場所、暑い・寒い場所、騒がしい場所だと、猫が自動給餌器を使ってくれない可能性が高くなります。
今ご飯を食べている同じ場所におけるサイズなのか?
場所を変えるなら、猫が嫌がらない場所に置けるのか?
を確認しておくことが必要です。
操作音や動作音がうるさくないか
機種によっては設定ボタンに消音設定がなく、毎度「ピッピッピッピィッ」と鳴るのが非常にうるさいというお声があります。
また、フードが供給される時の動作音が大きく、睡眠中に毎度起きてしまうのが想定外だったというお声もあります。
寝室に給餌器を置く場合は、消音設定のある機種や、スマホから操作できるモデルを選ぶといいですよ!
サイズや形状
置く場所を優先し、コンパクトで華奢なデザインを選んだ場合、猫が乗って倒してしまった…うという声も珍しくありません。
夜明けに猫に起こされるのが嫌で導入したのに給餌器の音で目覚めてしまったら元も子もありません…
コンパクト過ぎると、タンクにフードを頻繁に補充しなければならないので手間が増えることも注意しておきましょう。
安定感のあるデザインや、ある程度の重さがあるものを選ぶのがおすすめ!
いたずらが防止できるデザインか?
自動給餌器を自分で操作したり、供給口に手を突っ込んでご飯を出してしまう子も珍しくありません。
定時に供給できるメリットがある自動給餌器のはずなのに、簡単に操作されてしまえば食べ放題バイキング器になってしまいます…
手が差し込めないデザイン、外側にボタンがない、カバーがある、スマホで操作するタイプなど、猫が自分で操作ができない設計になっているタイプを選びましょう。
食いしん坊の子なら要注意ポイントよ!
電源の種類(電池式・電源コード式)と信頼性
自動給餌器はコンセントに差し込む電源コード式か電池式、または併用できる2wayが一般的です。
仮に停電になった場合、電池でも稼働してくれるタイプでないと、猫はご飯が食べられなくなってしまいます。
自動給餌器は飼い主さんが不在でも猫の健康と安全を守るためのツールですので、万が一の時に緊急用電源が稼働してくれるシステムなのかを確認しておくことが必要です。
電源コードと電池の2way方式を選んでおけば安心!
掃除のしやすさ
デメリットの項目でもお伝えしましたが、掃除しやすい自動給餌器を選ばないとお手入れがおっくうになるだけでなく、猫の健康にも悪影響を与えてしまいます。
以下のポイントをチェックして選ぶとお手入れが格段に楽になります。
- お皿が水洗い可能(または食洗器対応)
- フードタンクが簡単に取り外せて丸洗いできる
- 本体に突起物が少なく、水拭きが可能
食洗機対応タイプは手洗いの手間も省けるので忙しい飼い主さんに人気です。
供給口はフードが詰まりにくい設計かどうかも確認しておきましょう。清潔な状態を維持しやすくなりますので定期的なメンテナンスの負担が軽減されます。
パーツのみ購入可能
自動給餌器を導入するなら、長期にわたって使用したいですよね。
お皿だけ買い足したい、操作カバーを交換したい、電源コードだけ欲しい等、パーツのみ追加購入できるサービスもあると、便利に長く使えます。
例えば、フードタンクの上蓋のツメを折ってしまい、猫が簡単に開けられる状態になってしまった… という事態でも、パーツだけ交換できるので長く使えます。
丸ごと買い替えなくていいのは助かるね
アフターサービス
自動給餌器は電化製品ですので、製品購入後に「使えない…」という万が一の事態も想定しておきましょう。そのためには、サポートの充実度も自動給餌器選びの重要なポイントです。
- 日本語対応のマニュアル
- 日本語カスタマーサービスの有無
- 製品やアプリ障害時の情報共有
- お皿や電源コードなどパーツのみ購入できるか
海外製の安価な製品を購入した方の多くに、
英語のマニュアルだった… そもそも取説がなかった…というお声が多いです。
スマホで操作できるモデルは専用アプリを使うことになりますが、不具合や障害が起きた時に、アプリ側の問題なのか、製品の問題なのか分からない場合、メーカーと情報が共有できないのも非常にストレスになります。
不具合の対処法がないので、結局捨てるしかなかった…という声も実際に多いです。
安物買いの銭失い…。それは悲しいね…
自動給餌器は電化製品ですので、万が一のケースに日本語で対応してくれる窓口があるかどうかは見逃せない注意ポイントなのです。
海外製品でも良品はもちろん多くありますが、耐久性や信頼性の面で考えると国内メーカーの製品が抜群に評判が良いです。
猫用自動給餌器のよくある質問
猫用自動給餌器の導入を検討されているお客様からいただいた質問をご紹介します。
- 老猫(シニア)や病気の猫にも使える?
- 猫用自動給餌器を使うと太りやすくなる?
- 留守中でもご飯の新鮮さを保つ方法は?
- ウェットフードに対応している?
- 多頭飼いにも対応している?
老猫(シニア)や病気の猫にも使える?
老猫(シニア猫)や病気の猫に自動給餌器を使用するかどうかは慎重に検討しましょう。
シニア猫は食欲が不安定になりやすく、病気の猫は食事制限が必要な状況も少なくありません。
自動給餌器は設定したとおりにご飯を与え続けるためのツールですので、食べ残しがある場合、自動給餌器の不具合によるものか、猫の食欲状況に起因しているのかを判断するのが難しい場合があります。
食欲のむら等から判断できる細かいサインを見逃してしまうかもしれません。
シニア猫や病気の猫に自動給餌器を使用する場合は、猫の栄養状態が悪化したり体重が減少したりしない様に1日1回は飼い主さんが直接与えたり、カメラ付きの自動給餌器を使用するなど、よく検討して導入しましょう。
猫用自動給餌器を使うと太りやすくなる?
猫用自動給餌器を使用すると、猫は適正体重を保ちやすくなります。
置き餌や、おねだりして食べたいだけ食べていた子なら、定時に決められた量の餌が与えられるため、猫が必要以上にカロリーを摂取する心配がありません。
暇つぶしに食べてしまう子も珍しくないですが、自動給餌器からご飯を提供されるようになると、常にご飯が目の前にある状況を避けることができます。
おねだりする子なら、1回の給餌の量を少なくして回数を多くするなどの対策が取れるので猫の体重管理が無理なくできます。
自動給餌器の導入後も体猫の活動量や体調、体重変動をチェックし、ご飯の量を適切に調整しましょう。
留守中でもご飯の鮮度を保つ方法は?
留守中でもペットのご飯の鮮度を保つためには、適切な保存方法と機器の選択が重要です。フードタンク内のご飯を定期的に補充し、古いご飯は取り除いてください。フードはタンクの中に長期的に保管せず、1か月程度で食べきる量にしましょう。
乾燥剤を使用すれば内部の湿気を防ぎ、ご飯の鮮度を保てます。
ウエットフードの鮮度を保つためには、冷却機能付きの自動給餌器を選ぶことをおすすめします。
常に衛生的な環境を保つために、自動給餌器の定期的な清掃も大切です。
ウェットフードに対応している?
ウェットフードに対応している自動給餌器もあります。ウェットフード対応の自動給餌器は飼い主さんがトレイに1食づつ入れる円盤型タイプが一般的です。
鮮度を保つために、冷却機能付きの自動給餌器を選ぶことをおすすめします。
トレイごと外せて丸洗い清掃ができる設計のモデルも多く、日常のお手入れも簡単です。
多頭飼いにも対応している?
多頭飼いに対応できる自動給餌器も多数あります。
それぞれニーズの異なる猫たちに対応できるタイプもあるので食事管理がしやすくなります。
多頭飼いの場合は以下のようなタイプが適しています。
- 専用タグで個別認識してくれる給餌器
- 複数の猫が同時に食べられる広めの皿付き
- 給餌口が複数あるタイプ
- 1台で2種類のフードが給餌できるタイプ
- カメラ付き(1匹が食べ終わったのを確認して別の子に給餌できる)
専用タグで識別してくれる給餌器なら療法食や個別にフードを分けたい場合にも安心です。
多頭飼い用に使用する場合は、猫が食べ過ぎたり、ご飯を盗み食いしたりするのを防げる機能がある自動給餌器を選びましょう。
» 猫の多頭飼い成功の秘訣
まとめ
猫用自動給餌器は、猫に安定したリズムでご飯を提供し、飼い主の生活を便利にする上で、とても有効なツールです。
ただし、猫の健康状態の変化に気付きにくくなる可能性や、初期投資の高さ、故障のリスクなどのデメリットには注意が必要です。
自動給餌器を購入したのに「こんなはずではなかった…」とならない様に、選び方においては、サイズや機能性、掃除のしやすさ、耐久性、アフターサービスなどを重視しましょう。
自動給餌器のポイントを押さえて正しく選べば、デメリットよりもメリットの方が大きく、猫も飼い主も快適に過ごせる環境を整えることができますよ!