猫は1日のほとんどを寝て過ごすことが多いですが、ほとんど動いていないのでは!?
と思う飼い主さんも多いようです。
うちの猫は怠け者な性格だからさ~
人間と同じで、猫の運動不足も心と身体の健康に悪影響を及ぼす可能性があります。
単に「怠け者」で片付けずに、対策を取ることが重要です。
本記事では以下を解説していきます。
- 猫の運動不足によるリスク
- 運動不足のサイン
- 猫に必要な運動量
- 運動不足を解消するための具体的な方法
この記事を読んでいただくと、愛猫の健康を守り快適な生活をサポートするためのヒントが見つかりますので、ぜひ最後まで読んでみて下さいね。
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猫の運動不足のリスク
猫の運動不足は、多くの健康問題を引き起こす原因になります。
運動不足がひきおこすリスクには以下があげられます。
- 肥満
- 糖尿病や心臓病、尿路結石、関節炎などの病気
- 問題行動
- 精神的な不満(ストレス)や退屈感
適切な運動は、体重管理だけでなく猫の長寿と幸福度にも密接に関わっています。
猫の健康やストレスに関連するリスクを避けるため、日常的に運動をさせることが非常に重要です。
猫の運動不足サイン
猫が運動不足になると下のようなサインが出てきます。
サインに気づいたら、猫の運動習慣を見直しましょう。
- 肥満
- 過剰なグルーミング
- 無気力・無関心
- 急に走り回る行動(真空行動)
- いたずらの増加
肥満
運動不足により体重や体脂肪が増えると肥満状態になります。
猫の肥満の兆候として、腹部が目立って膨らんできます。
肥満の猫は人間と同様に活動性が低下し、遊びに興味を失ったり、高い所に登らなくなったりします。
体重が増えることで関節に負担がかかるなどの問題を抱えることもあります。関節が痛むから余計に動かなくなる…という悪循環につながってしまいます。
猫に肥満の兆候が見られたら、運動の機会を増やすことが重要です。
日常的な運動と適切な食事管理をすれば、猫は元気で活発な生活を取り戻すことができます。
過剰なグルーミング
毛並みを整えるためのグルーミング(毛づくろい)は、猫の習性です。
しかし過剰なグルーミングは、心理状態に問題を抱えているサインである可能性が高いです。
過度に毛繕いをする理由として、不安やストレスを解消したい心理が働いているとされています。
ストレスは運動不足が原因であることも少なくありません。
猫のストレスを解消するためには、適切な運動や刺激を与えることが大切です。
過剰なグルーミングが続くと、健康上の問題を引き起こす原因にもなります。
足や腹部など特定部位の集中的なグルーミングは、皮膚病や脱毛につながることもあるため注意が必要です。
過剰グルーミングを心配して、猫の洋服を探しにくるお客様はとても多いです(術後服をご案内しています)。
無気力・無関心
猫は本来、好奇心が旺盛な性質です。
シニア猫だと好奇心が少なくなることもありますが、子猫や成猫で、今までなら新しいものを見つけると近寄ってきてたのに、最近は関心を示さない…
というような好奇心が減少している状態は、心や体の健康に関する警告信号である可能性があります(猫にもうつ病があることが分かっています)。
まずは動物病院で心身の健康に問題が無いか確認し、問題なかったなら、運動不足が原因で無気力になっている可能性を疑いましょう。
無気力・無関心とは具体的に以下ような状態があげられます。
- 遊ぶ意欲がない
- 新しいおもちゃに対する関心がない
- 普段よりも長い時間寝て過ごす
- 寝ている位置がずっと変わらない
- 飼い主や他のペットへの反応が鈍い
- 食欲が落ちてご飯やおやつに関心を失う
無気力・無関心の兆候は、警戒すべき重要なサインです。健康状態が確認できたら、猫が十分に運動できているか確認し、対策を取る必要があります。
急に走り回る行動(真空行動)
猫が急に走り回る行動のことを「真空行動(しんくうこうどう)」といいます。
真空行動は猫が突然エネルギーを発散する行動で、運動不足やストレスの現れです。
特に室内で生活している猫は、活動範囲が限られているために真空行動を起こしやすいです。
遊んでくれなくて退屈なの!
体力あり余ってるってこと!
日常的に運動量が不足していると発生しやすくなるため、日頃から猫の運動量に注意を払う必要があります。
いたずらの増加
運動不足の猫は、いたずらが増えることがあります。
猫がいたずらするのは、エネルギーを消費する方法を見つけようとしているからです。
ストレスを解消したり、飼い主の注意を引いたりするためにいたずらをする場合もあります。
いたずらとして以下のような例があげられます。
- 家具や壁紙を引っかく
- 物を落としたり散らかしたりする
- トイレットペーパーやティッシュを引き裂く
- 食器や装飾品をわざと倒して遊ぶ
我が家の茶トラ君は、私を見ながらソファでわざと爪とぎするわ…
猫の適切な運動量
猫にとって適切な運動量は、年齢や健康状態によって異なります。
適切な運動を促すためには、猫の年齢と体調を考慮することが大切です。
子猫
子猫は5分程度の運動を1日に数回取り入れることが大切です。
子猫は運動により筋肉を発達させ、爪や歯の使い方、社会性や狩猟スキルを学びます。
好奇心のかたまりの子猫はたくさん遊びたがりますが、遊びで多くのエネルギーを消費するため、過度な運動は子猫の体に負担をかけてしまう可能性があります。
子猫の月齢、体重、健康状態に応じて休憩を取り入れながら運動させることが必要です。
口呼吸するのは遊び過ぎのサインよ!
成猫
成猫は少なくとも1日10分~15分のアクティブな運動が必要です。
猫の運動不足を解消するには、狩猟本能を刺激するような遊びが効果的です。
(次の項目でご紹介します)
1日の中で何回かに分けて遊ぶ時間を設けると良いでしょう。
室内でも少しの工夫で運動不足が解消できるため、猫が過ごす生活空間を上手く活用しましょう。
成猫の場合も、体重や年齢、健康状態によって適切な運動量を見極めることが大切です。
猫は瞬発力はあるけど持久力はないので、長時間の遊びは苦手よ
シニア猫
猫は年を取るにつれ活動レベルが低下します。
シニア猫に若いときと同じ運動量は期待しないでくださいね。
とは言え、シニア猫の健康維持のためには適度な運動は重要です。
シニア猫の筋肉の衰えを防ぐためには、日々の軽い運動が役立つのです。
ゆっくりとしたペースの散歩や、軽く動くおもちゃでの遊びが理想的です。
猫の好奇心を刺激し、日常的な運動を促す環境作りも重要です。
急な動きや高いところからジャンプさせる運動は避けましょう。
シニア猫は内臓などの病気のほかに、関節炎などと恩田り年齢による健康問題を抱えることがあります。獣医師と相談し、個々の猫に合った運動をしていきましょう。
猫の運動不足解消法
室内で飼われている猫は運動不足になりやすいため、日常生活で運動の機会を作ることが大切です。以下の方法を参考にしてください。
- 安全に遊べるスペースを確保する
- ひとり遊びできるおもちゃを与える
- キャットタワーを購入する
- 仲間を増やす
- 飼い主と積極的に遊ぶ
猫の運動不足解消には、楽しい遊びを通じて体を動かすことが有効です。
スペースを確保する
猫が存分に動けるスペースを確保しましょう。
家の中で猫が活動的に遊んだり、ジャンプしたりするためには、家具の配置の工夫が必要です。
例えば、壁や棚を活用して、高い位置にジャンプできるようにするのも良いでしょう。
私の部屋は狭いから無理だよ…
キャットウォークにもなる兼用家具を取り入れるのもおすすめ!
猫のおもちゃや小物は定期的に片付け、動きやすい環境を整えてください。広さと安全性を考慮し、猫が快適に伸び伸びと運動できるスペースを確保することがポイントです。
ひとり遊びできるおもちゃを与える
ひとり遊びできるおもちゃも、猫の運動不足防止やストレス発散に役立ちます。
猫は狩猟本能がある動物のため、本能を刺激するタイプのおもちゃがおすすめです。
例えば、獲物の形をしたマウス型や鳥の羽がついたおもちゃを好んで追いかけます。
触れると音が出るなどの反応があるおもちゃは、猫の興味を長時間持続させるのに適しています。
知育形式のおもちゃを食事時間に使用すると、食事と同時に運動ができるため一石二鳥です。
ハムスターの回し車の様なキャットホイールも人気です。
確実に運動不足を解消するアイテムです。
キャットタワーを購入する
キャットタワーは猫の運動不足とストレス解消に大変有効なアイテムです。
ワンルームなど制限がある狭めのお部屋でも、天井までの突っ張りタイプのキャットタワーを利用すれば十分な上下運動できるスペースが作れます。
購入する際は、猫の安全と快適性を最優先に考えて選びましょう。
猫が激しく駆け上ったりした時に落下やタワーが倒れたりするリスクが低いタイプを選ぶことが大切です。
活発な猫には複数のステップがついたタイプ、来客がよくあるお宅なら隠れ家が付いたタイプを選ぶなど、猫の好みや活動レベルに合わせることも大切です。
爪研ぎスペースが含まれているものを選ぶと家具が傷つくのを防ぎ、猫もストレス解消ができます。
キャットタワーの素材や耐久性も考慮し、長期間安全に使える製品を選びましょう。
購入後は、猫がキャットタワーに興味を持つまで時間をかけて慣らし、安心して思う存分に遊べるようにします。
設置には猫がリラックスできる場所が適しています。
窓際や人間を見渡せる(監視できる!)場所を好む子が多いです。
定期的な掃除と安全確認も行ってくださいね。
適切なキャットタワーを選べば、猫の運動不足が解消されるだけでなく、猫の生活に喜びをもたらすごとができます。
>>キャットタワーの選び方を間違えた!失敗しない4つのポイント
仲間を増やす
猫は本能的に動く生き物で、社交性が高い猫ほど新しい仲間との交流を楽しむ傾向があります。猫同士で追いかけっこをしたり、遊びを誘い合ったりすれば自然と体が動かせます。
しかし、安易に新しい猫を迎え入れるのは注意が必要です。
猫には個体差があるため、すべての猫と相性が良いとは限りません。
猫の性格を見極め、猫同士が互いを受け入れるまで時間をかけることが大切です。
複数の猫を飼う場合は、各猫に十分な注意とケアが必要になります。
食事、健康管理、適切な運動量の確保などのお世話は個々の猫に合わせて行いましょう。
茶トラ君は誰とでも仲良くできるタイプだと思って新しい子を迎えたんだけど、実際は慣れるまでにひと悶着ありました…
飼い主と積極的に遊ぶ
毎日猫と遊ぶ時間を作れば、猫の日常に運動を組み込むことができます。
レーザーポインターや羽根のおもちゃを使った運動系の遊びは、猫の狩猟本能を刺激します。
触ると音が出るような反応のあるおもちゃなら、よりエキサイティングな遊びになるのでおすすめです。
芸を覚えさせるようなクリッカートレーニングも効果的です。
安全が確保できるなら、リードを使った屋外での散歩にも挑戦できます。猫の体力や興味に合わせて、日常に遊びの時間を取り入れることがポイントです。
>>猫に散歩させるなら徹底した準備と注意を!外に出たがる猫に飼い主ができること
猫の運動不足を防ぐ室内の環境作り
猫は室内で過ごす時間が長くなると、運動不足に陥りやすくなります。
猫が自然に体を動かせる、健康で快適な室内環境を整えましょう。
安全で刺激的な室内環境を作る
猫は好奇心旺盛で探検することが好きなため、安全な場所を確保しつつ、興味を引くアイテムや構造を取り入れるのがおすすめです。
猫が楽しみながら自然と運動量も増やせるアイテムをご紹介します。
猫が高いところに登ったり降りたりするのを促すと、筋力の維持やストレスの軽減につながります。
猫用トンネルや隠れ家は、猫の好奇心を刺激し、探索する楽しみを提供できます。
視覚的な刺激を与えるために、外の景色を楽しめる工夫も効果的です。眺めが良い窓にシェルフをつければ、登ったり降りたりする行動量も多くなります。
>>サンシャイン池崎家にある猫の壁家具が可愛い!どこで買える?
家具のレイアウトを工夫する
家具のレイアウトを工夫すると、猫が自由に動き回れるスペースを作れます。
猫が移動しやすい場所に家具を設置し、障害物を減らしましょう。
猫が通れる複数のルートを確保し、けがをしないように広いスペースを作ることが大切です。
高低差を活用すると、猫がジャンプしたり登ったりする機会を増やせます。
猫が生活する場所では、鋭利な物や危険な物を取り除き、安全性を確保することが大切です。
室内は定期的に清掃し、猫が快適に過ごせる環境を維持してあげましょう。
猫が運動するのに最適な時間帯
猫を運動させる最適な時間は?
猫が最も活動的な時間は夕暮れ~明け方です(夜行性ではなく薄明薄暮の動物です)。
早朝に起こされて困る~ という飼い主さんも多いですが、朝は猫が自然にエネルギーが高まっているため、その時間は反応も良く、ストレスの解消にも役立ちます。
逆に食後でリラックスしているときや、日中、眠っているときは無理に運動させる必要はありません。
朝や夕方
猫は夜行性ではなく薄明薄暮(夜明けと夕暮れが活動のピーク)の動物です。
そのため、朝や夕方は猫の自然な狩猟活動の時間帯に近く、本能を刺激しやすいため、遊びや運動を取り入れるのに最適な時間帯です。
おもちゃを使って遊んだり、キャットタワーで運動させたりすると良いでしょう。
散歩に行く場合は安全対策をして出かけましょう。
思い切り運動し、リラックスした猫は夜もよく眠るようになります。
朝から遊んであげる余裕ないよ!
あくまで「猫にとって最も活動的な時間」ということであり、飼い主の生活を犠牲にしてまで遊ぶ必要はないよ。
自分の生活スタイルに合わせて、無理しない時間を見つけてみてね!
空腹時
空腹時は獲物を捕まえたいというハンティング本能が働いているため活動的になりやすいです。(逆に満腹時は人間と同じで動きたくなくなります)
この空腹時のタイミングを狙い、食べ物を使った遊びをすると食欲の増進にも効果的です。
食事の前に運動させると消化が良くなる効果も期待できます。
- 空腹時に遊びを取り入れる
- 食事
というルーティンを覚えさせると、食事時間の管理もしやすくなります。
猫の運動不足を防ぐ遊び方のコツ
猫の運動不足を防ぐためには、猫の本能を知り、猫が喜ぶ遊び方のポイントを理解することが重要です。
猫は飽きやすい子が多いため、反応を見ながら遊び方を変えましょう。
猫が喜ぶ遊び方のポイント
猫は狩猟本能が強く、動くものや隠れる場所に興奮します。
狩りのような動きを取り入れると、猫は自然と夢中になり、満足感を得られるでしょう。
猫と遊ぶ際は、以下のポイントを意識するのがおすすめです。
- 高低差を生かす
- 見え隠れする位置関係で遊ぶ
- 短時間で集中して遊ぶ
キャットタワーや棚などを利用して、猫が上下に飛び乗ったり降りたりできる環境を作ります。
キャットトンネルも、猫が物陰から獲物を狙っている気分になれるので非常に効果的です。
猫は瞬発力はありますが持続力はありません。
5~10分程度の遊びを何回かに分け、猫の様子を見ながら適度に休憩を入れましょう。
ハァハァと口呼吸してたら遊び過ぎよ
おやつやおもちゃを使った遊び方
おやつやおもちゃを使った遊びを取り入れると、より猫の興味を引き、楽しみながら運動させられます。
おやつやご飯を隠して探させる知育トイなら、猫は頭を使いながら体も動かすことが可能です。
新聞紙やカサカサ音がする袋などの下でおもちゃを動かしてみて下さい。何かがいる!と目をキラキラさせてくるはずです。
捕獲した満足感を与えるために、時々キャッチさせてあげてね
猫の好奇心を保つために毎日違うおもちゃを使い分けると、飽きずに楽しめます。
レーザーポインターを使った遊びも人気があり、光を追いかけながら、家の中を駆け回ります。いつになっても捕まえられないストレスになる場合があるので、短時間で終わせ次のおもちゃに移りましょう。光を直接目に当てるのは避けてくださいね。
まとめ
猫の健康を維持するためには運動が欠かせません。
運動不足は、肥満や病気を引き起こすリスクを増加させ、猫の長寿にも影響があります。
肥満、過剰なグルーミング、無気力、真空行動、いたずらの増加などは運動不足のサインです。
子猫、成猫、老猫でそれぞれ適切な運動量が異なるため、年齢や個々にあった運動を選んでいきましょう。
室内でも猫が自ら積極的に運動できるような環境を整えることも運動不足解消に有効です。
具体的にはキャットタワーの設置や、他のペットとの交流を促すこと、飼い主との遊び時間を十分に確保することが挙げられます。
適切な運動は愛猫の幸せな毎日をサポートします。
愛猫と1日でも長くいるために、健康的でハッピーなライフスタイルを一緒に築いてあげましょう。