猫に1日何回ご飯を与えてる?
飼い主さんの多くは朝と夜の2回という方が多い印象ですが、
結論から言ってしまうと
「なるべく多い回数がおすすめ」です。
…とは言っても「こういう子には〇回くらいがいいよ」という目安はありますので、猫の年齢別に理想的な食事回数を解説していきます。
もちろん猫の食事回数は「多い方が良い理由」も説明していきます。
食事回数を適切に調整できれば、愛猫の健康維持ができますのでぜひ最後までチェックして下さいね。
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猫の食事回数に決まりがない理由
猫はもともと、チョコチョコ食べる習性をもった動物です。
野生時代の猫は、ねずみやうさぎ等の小動物を1日のうちに何度も捕って食べてきました。
食べ貯めみたいなことはせず、少量をチョコチョコ食べたほうが消化しやすい体のつくりになっているのです。
ご飯は1日2回だけなど少なく給餌するのは人間の都合による回数で、それが正しい回数という意味ではありません。
理想は置き餌などで、猫が食べたい時にチョコチョコ食べられる「自由採食」にしてあげることが猫にとっては本来の食べ方なのです。
年齢別に目安になる回数を紹介していきますね
猫の食事回数の目安
置き餌はできないから回数を決めたいな
猫の理想的な食事回数は、成長段階や健康状態によって異なります。
目安の回数を解説していきます。
子猫
子猫は成長が加速する大変重要な時期なので適切な栄養摂取が重要です。
生後2か月頃までは1日に4〜6回、生後4か月頃までは3~4回を目安に与えましょう。
生後6か月あたりからは1日に2~3回にしても問題はありません。
月齢が浅いとドライフードは食べるのが難しいので、お湯でふやかしたり、ウェットフードをあげましょう。
子猫の食事は目や脳の発達に大変重要です。成猫用フードでは栄養が不足してしまいますので、必ず子猫用の総合栄養食のフードを選んで与えましょう。子猫用は高タンパクで消化しやすく作られています。
特に子猫の時期は質の高いキャットフードを選びましょう。適切な栄養が子猫の成長と健康を支えます。子猫の時期にしっかりした体の土台を作ることで健康に育ち、成猫になった時の病気リスクが減るということにもつながります。
成猫
成猫の食事回数は1日2~5回が目安です。
回数に幅があり過ぎじゃない!?
猫はもともと、チョコチョコ食べる習性をもった動物です。
野生時代の猫は、ねずみやうさぎ等の小動物を1日のうちに何度も捕って食べてきました。
猫は食べ貯めはせず、少量をチョコチョコ食べたほうが消化しやすい体のつくりになっているのです。
ですので、1日2回だけなど少なく給餌するのは人間の都合による回数で、それが正しい回数という意味ではありません。
置き餌などで、猫が食べたい時にチョコチョコ食べられる「自由採食」にしてあげることが猫にとっては理想の食べ方なのです。
1日2回でも猫のおねだり、胃液を吐く、がっついて吐き戻す等の問題がなければそのままの回数でも問題ありませんが、食事の回数が少ないことのデメリットもあります。後述しますので参考にして下さい。
フードはカロリー管理をしっかり行って、栄養バランスの取れた質の良い総合栄養食を選びましょう。
シニア猫(老猫)
シニア猫(老猫)の食事回数は注意が必要です。
消化機能が衰えるため、一度に沢山与えず少量ずつ頻繁に与えましょう。
シニアになると、一度にたくさん食べられなかったり食欲が減退しがちなので、食事の回数が少ないと痩せてしまう可能性があります。
1日の栄養を十分摂れるように「自由採食」や食事の回数を多くするのがおすすめです。
1日の必要な量を4~5回に分けて与えてると良いでしょう。
フードは必ずしもシニア用フードにする必要はありません。消化しやすく、小粒のものが食べやすくておすすめです。ウェットフードも香りが広がるので非常におすすめです。
妊娠中・授乳中
妊娠中や授乳中の猫には、通常より高カロリーで栄養豊富な食事が必要です。
母猫が授乳をしている時期は回数を決めずに欲しがるだけ与えて下さい。
母乳を通じて子猫に栄養を届けるため、母猫はかなり消耗をし栄養価の高い食事が重要だからです。
妊娠中は栄養不足にならない様にフード袋に表示された量を3~4回程度に分けて与えると良いでしょう。
妊娠中の猫は、お腹の中の子猫に栄養を供給できるようにカロリーを増やしますが、急激な体重増加は避け、適度な食事量を心がけることが母猫の健康維持に役立ちます。
フードの量が足りない様子なら増やしても大丈夫です。この時期は食べ過ぎを心配する必要はありません。
母体と子猫の成長を支えるために、高たんぱく質で質の良い総合栄養食を選びましょう。
療養中
療養中の猫には、獣医師の指導のもとで特別な療養食を与えることが一般的です。
療養中の猫は薬を服用していることが多いため、食事の回数は気をつけなければなりません。薬の効果を最大限に引き出すため、獣医師が指定する適切な時間と回数で食事を与えてください。
特に回数の指定がない場合、3~4回にわけて与えると良いでしょう。
猫の食事回数を分けるメリット
猫の食事回数を多くする(小分けにする)ことには、多くのメリットがあります。
- 尿のphが低下する
- 血糖値が急に上がるのを防ぐ
- 食べ過ぎを防止できる
- 吐き戻し対策になる
尿のphが低下する
猫さんはおしっこの病気トラブルが多いです。膀胱炎、ストルバイト尿石、シュウ酸カルシウム結石などなど…
ストルバイト尿石は、尿がアルカリ性にかたむくと発生しやすいので、治療は尿を酸性にするための薬や療法食を処方されます。
食後の尿はアルカリになりますが、
1回のご飯の量を少なくすると、尿のphが上下しにくくなることが分かっています。
自由採食や、1回のご飯の量を少なくして多くの回数で与えることで、尿のphが大きく動くことを防げるメリットがあるのです。
ストルバイトになると何度も繰り返してしまう子が多いので、食事面でも予防してあげることが大切です。
血糖値が上がるのを防ぐ
食事の後は血糖値が上がりますが、食事の間隔が長い空腹になった後の食事は、急激に血糖値が上がることになります。
猫は血糖値が高くなることで膵炎、糖尿病、肥満などのリスクが高まります。
自由採食や、1回のご飯の量を少なくして多くの回数で与えることで、血糖値の上昇幅が大きく動くのを防げるメリットがあるのです。
食べ過ぎを防止できる
1回の食事量を少なくし、食事回数を多くする(小分けにする)と、一度にドカ食いすることが減り、食べ過ぎ防止に効果的です。食べ過ぎは、肥満などの健康問題を引き起こします。
消化もスムーズになり、尿のphの安定、食後の血糖値の急激な上昇防止にもつながります。
食事の回数を増やすことで肥満を防ぎつつ、食べ物を消化しやすくなります。適切な食事管理により、猫の健康を守ることができます。
吐き戻し対策になる
吐き戻し対策になるのも、食事回数を多くする(小分けにする)メリットです。
吐き戻しとは、食べたものが消化される前に胃から口へ戻ることを指します。
空腹による一気食いやドカ食いをすると、食べ物が胃の中で急速に膨張し、胃の中がパンパンになり吐き出してしまうのです。
食事回数を多くする(小分けにする)ことで食べ物がスムーズに消化され、吐き戻しを防げます。
成猫であれば、1日3回程度に分けて食事を与えることがおすすめです。
>>猫が吐く8つの原因に迫る!ごはんをそのまま吐く場合10の解決策と注意点
猫の食事回数を分けるデメリット
猫の食事回数を分けることで考えられるデメリットもご紹介します。
食事の準備や配膳が頻繁に必要となり、飼い主の手間が増えます。忙しい日常を送る飼い主にとって大きな負担です。食事回数を分けるデメリットは以下のとおりです。
- ご飯が傷んでしまう
- 体調の変化に気づきにくい
- 手間がかかる
ご飯が傷んでしまう
置き餌(自由採食)で長時間放置されたご飯は酸化や劣化が進みます。風味が損なわれるだけでなく、猫の唾液により細菌が繁殖しやすくなります。
高温多湿の環境下では、食中毒のリスクが高まります。
ご飯を出しっぱなしにすると虫などが寄ってくる場合もあります。
ウェットフードは開封後は特に傷みやすいため注意が必要です。
体調の変化に気づきにくい
飼い主さん自身が都度、小分けで食事を与える場合は問題ありませんが、置き餌(自由採食)にしておくと猫の体調変化に気づきにくくなる点に注意が必要です。
猫がいつ、どれだけ食べたかの把握が難しくなり、猫の健康状態に関わる重要なサインを見逃す可能性があるのです。
特に多頭飼いの場合は誰が食べて誰が食べていないのかなど、変化に気づきにくくなります。
手間がかかる
食事回数を分けて与えることは猫の健康維持に大変有益ですが、飼い主さんの手間が増えます。
朝や昼、夕の忙しい時間帯に食事の準備をしたり、毎回適切な量を計量する手間も生じます。
特に外出が多い飼い主さんにとっては大きな課題となる場合があります。猫の健康を維持するために回数を多くしたい場合は自動給餌器の導入を検討するのも良いでしょう。
>>猫に自動給餌器がおすすめな5つの理由|失敗しない選び方のコツ!
猫の食事回数のよくある質問
職場でも、飼い主さんから猫の食事回数についての質問をよく受けます。
よくある質問をご紹介していきます。
- 1日1回の食事と複数回の食事はどっちがいい?
- 前のご飯が残っていたら足していい?
- 下痢することが多いんだけど…
- 飼い主が不在のときの食事はどのように管理すればいい?
1日1回の食事と複数回の食事はどっちがいい?
猫の健康状態や生活環境によって、食事の適切な回数は異なりますが、1日1回というのはおすすめしていません。
成猫なら少なくとも1日2回、おすすめは3回以上です。
複数回の食事は1日を通じてエネルギーの摂取を均一に保ち、血糖値や尿phの急な変動を防ぎます。高齢の猫は、一度に多く食べられない子も多いので少量を回数多くしてあげると1日に必要なエネルギーが摂れ、痩せてしまうことも防げます。
1日1回の食事は長時間の空腹状態を引き起こし、一気食いやドカ食いをし、吐き戻しにもつながります。消化されずに吐き戻してしまうと必要な栄養も摂れません。
前のご飯が残っていたら足していい?
もったいない気もしますが、食べ残しがあったら破棄して新しいご飯を与えましょう。
猫さんのお口にはたくさんの細菌がいて、お皿や残ったフードに唾液もついています。1日1回はお皿を洗い清潔に保ってあげましょう。
下痢することが多いんだけど…
※病気がない前提です。
体質的に下痢をしやい子なのかもしれません。
食べ物の消化がうまくできていなくて下痢になる場合は、食事の回数を多く(1回の量を少なく)すると改善する子も多いです。
徐々に食事の回数を増やして様子をみてみましょう。
飼い主が不在のときの食事はどのように管理すればいい?
飼い主さんが不在の際の猫の食事管理には、自動給餌器の利用が効果的です。家にいない時間でも猫が定時に食事を取ることができ、量もコントロールできます。
ほとんどの自動給餌器はタイマー付きですので、食事の量を事前にセットしておけば任意の時間に提供してくれます。
過食や食事不足を防ぎ、毎日こまめに一定量の食事摂取が可能です。
>>猫に自動給餌器がおすすめな5つの理由|失敗しない選び方のコツ
まとめ
意外かもしれませんが、食事の回数は猫の健康と密接に関連しています。
猫にとって理想的な食事回数は置き餌のような「自由採食」ですが、デメリットもあるので、回数を決めて与えるのも良いでしょう。
厳密な回数の決まりはありませんが、1回の量を少なくして多い回数で与えると猫の消化にも良く、健康面でもメリットがたくさんあります。
子猫は2か月頃までは1日に4〜6回、4か月頃までは3~4回、6か月あたりからは2~3回を目安に与えましょう。
授乳中の母猫は回数を制限せず、欲しがるだけ与えて問題ありません。
成猫は3回、シニア猫は4回を目安に与えましょう。
食事回数の調整は食べ過ぎや吐き戻しを防ぎ、食事の鮮度も保ちやすくなります。適切な食事管理は、猫の健康維持と長寿につながります。
回数を増やすことによる負担がある場合は自動給餌器の導入がおすすめです。
» 猫の飼い方を解説