猫に刺身を食べさせても大丈夫か迷っている飼い主さんは多いです。
また、意外に多い「刺身のつま(大根)を食べたがるけど大丈夫?」という疑問。
つまは添加物使われてるって噂もあるから心配…
そこで!
刺身のつま工場の方に疑問を取材してきましたので、そのリアルな回答をお届けします!
また、猫に与えてはいけない刺身の種類や、間違えて与えてしまったことで発症する猫の病気、与えるときの注意点も詳しく解説します。
愛猫の健康を守りながら、楽しい食事時間にしていきましょう!
基本的に猫に刺身のツマを与えても大丈夫
刺身のツマは大根から作られています。
大根それ自体は猫にとって無害なので大根は与えて大丈夫です。
刺身のツマって妙に白いし、歯ごたえも普通の大根と違う気がする…。もしかして漂白剤とか使ってるの?猫に与えるの不安なんだけど…
私もずっと疑問に思ってたので、思い切って大根のつま工場の方に取材してきたよ!
- 薬品は使われてる?
次亜塩素酸ソーダを使ってます。これはどこの食品企業でも使用しています。洗われて水にさらされた大根ツマが脱水機で脱水されるのですが、次亜塩素酸ソーダを使うことで刺身が水っぽくなるのを防ぎます。殺菌効果もあります。
- 刺身に魚のドリップが染みこまないで真っ白なのはなぜ?家で作るツマだと染み込みますが…。
次亜塩素酸ソーダが一番の要因です。これをしないと殺菌作用も薄れるし、検査にも通りません。
そもそも、大根のツマになる大根は、加工される目的に生産されています。つまり、種から違うのです。
- 子供やペットが食べても大丈夫な大根なの?
- 問題ありません。私の小さな子供も食べています!
- ぶっちゃけ、ご自分はすすんで食べてますか?
- もちろん、お刺身と一緒に食べていますよ。わさびと一緒が美味しいですよ~笑
猫がツマを食べても問題ないことが分かりました!
しかし与え方によってはトラブルをおこすこともあります。注意したいポイントをお伝えします。
- 水で洗い流す
- 新鮮なものを与える
- 長いまま与えない
- 大量に与えない
水で洗い流す
猫に刺身のツマを与える場合は水で軽く洗い流してからにしましょう。
猫にとって、うま味に感じる匂いが消えてしまうかもしれませんが、生の魚と接触しているものなので、食中毒を起こす可能性の菌がついている可能性があります。
猫が欲しがる場合は、水で洗い流してから与えましょう。
新鮮なものを与える
当然ではありますが、変色や異臭などがない新鮮なツマを与えましょう。
ドリップ(血や水分)が多く染みこんでいるということは、時間がだいぶたっているお刺身とも言えます。
猫が欲しがる場合はよく観察してから与えましょう。
長いまま与えない
ツマは長く切られているものが多いので、噛み切れずに長いまま飲みこんでしまったものが咽につまってしまう可能性もあります。
猫が欲しがる場合は細かく切って与えましょう。
大量に与えない
猫は肉食動物なので、基本的に野菜の消化は得意ではありません。
大量に与えてしまうと胃腸に負担をかけてしまう原因になります。
また、大根は大根の辛味成分もありますので胃腸を刺激してしまうこともあります。
猫が欲しがる場合は、おやつとして数本程度、またはご飯に少々トッピング程度の量にしておきましょう。
猫が刺身のツマを食べたがる よくある質問
なんで刺身のツマを食べたがるんだろう?
刺身のツマには、魚から出た水分や血、うまみ成分がついていることがあります。
人間にとっては生臭いと感じるそれらを、猫は好むのではないかと考えられています。
また、猫草と同じ形状をしているものが多いので、シャキシャキした歯ごたえが好きな子や、毛玉を吐きたい時(猫草は胃を刺激して毛玉を吐かせるもの)に食べるのではないかと思われます。
刺身のツマ食べて栄養になるの?
大根の90%は水分です。
お水を飲まない子であれば大根を食べることで水分を摂取できるのでおすすめですが、一度に大量に与えるのは避けた方が良いので、少量づつご飯にトッピングやおやつとして定期的に与えるのが良いでしょう。
基本的には猫に刺身を与えても大丈夫
せっかくなので、お刺身についても解説していきます。
お刺身を食卓に並べていたら奪われた~なんて話も珍しくありません。
私は生鮭を盗んで怒られたことがあるわ
猫に刺身を与えることは基本的に問題ありませんが、与えるべきでない種類の魚もあります。
また、主食として与えるのではなく、あくまで健康的なおやつという認識で与えることが大切です。
刺身を与える際には、魚の種類と鮮度が重要です。与えてはいけない種類の魚や古い刺身を与えると猫の健康に悪影響を及ぼします。
飼い主さんも食べられる新鮮な刺身を選びましょう。与える刺身の量も管理する必要があります。
猫に与えてはいけない刺身の種類
猫に与えてはいけない刺身の種類で、注意すべきものは以下のとおりです。
- 甲殻類
- 貝類
- 青魚
- 鮮度の悪い赤身魚
甲殻類(エビやカニなど)
甲殻類はエビやカニなどをさします。
エビは消化に悪いので猫が消化不良を起こす可能性があります。
また、生のエビやカニにはビタミンB1分解酵素があり、猫がエビを食べると体内のビタミンB1を分解してしまいます。ビタミンB1が欠乏すると足が麻痺したりふらつく症状が出ます。
重症化する恐れもあります。
加熱されたエビやカニにはビタミンB1分解酵素は無いので少量なら与えても大丈夫ですが、猫の口内、内臓や消化管を傷をつける可能性もあります。与える際は、蒸す、焼く、茹でるなどの加熱調理をし、殻や頭部、尾部を取り除きましょう。
貝類
お刺身の貝類は、ほたて、あわびなどがあります。
あわびは食べさせないようにしましょう。
「猫がアワビを食べると耳が腐る」「耳が溶ける」という話を聞いたことがあるわ!
猫にアワビを食べさせると、光線過敏症という皮膚の病気になることがあります。
原因は、アワビに含まれている毒素が皮膚の炎症を引き起こすためです。
猫の耳は突出していて、皮膚も薄いので、他の部分より光の影響をうけやすいため、症状が強く出ます。炎症が起こった耳を痒くて猫がひっかくと皮膚組織がボロボロ落ちてくるのです。耳が落ちるほど掻きむしるその様子が「腐る」とか「溶ける」と表現されているのでしょう。
ホタテの刺身も与えないようにしましょう。
え?猫のおやつでホタテの貝柱ってあるよ!すごい人気だよね…
加熱したホタテの貝柱と貝ひも(ミミの部分)だけは大丈夫なんです。
刺身はNGです。
青魚
青魚とは、サバやアジ、イワシなど背が青い色の魚をいいます。
青魚の刺身は与えないようにしましょう。
少量与えたら、すぐにどうにかなって病院にかけこむほどの心配はありませんが、青魚を常食すると、黄色脂肪症(イエローファット)という病気の発症リスクが高まるとされます。
マグネシウムが豊富な種類も多いです。マグネシウムの多い食事は尿石症の要因にもなります。
鮮度の悪い魚
鮮度の悪い刺身は猫に与えるべきではありません。鮮度が落ちた魚には細菌や寄生虫が増殖し、猫の健康に悪影響を与える可能性があります。
酸化した脂肪酸や腐敗した魚に含まれるヒスタミンは、猫の消化器官に炎症を引き起こします。たとえ加熱したとしても鮮度の悪い魚は与えないようにしましょう。
» 猫に食べさせていい魚と食べさせてはいけない魚を解説!
猫に与えていい刺身の量と頻度
1度に過剰に与えると消化不良や病気の原因になります。
与える場合は、人が食べるお刺身1切れの1/3~1/4程度を目安にしましょう。
主食ではなく、おやつやご飯のトッピングという位置づけです。
お刺身の種類によりますが、お刺身1切れはだいたい30kcal前後といわれます。
1日の総カロリーからお刺身の量を考えて調整してあげましょう。
おやつを与える場合は1日の総カロリーの20%以内が理想とされています
刺身を多めに食べてしまったからといって急に問題になることはありませんが、毎日のように与えていればチアミン欠乏症という病気になります(次の項目で説明しています)。
猫に刺身を与える適切な頻度は?
猫に刺身を与える頻度は、猫の健康を考慮しながら、多くても週に1〜2回程度が適切です。生魚を過剰に与えると、ビタミンB1が不足するリスクがあります。ビタミンB1は猫の健康に重要で、不足すると食欲不振や体調不良を引き起こします。
魚によって引き起こされる猫の病気
魚によって引き起こされる猫の病気には以下のようなものがあります。
- チアミン欠乏症
- 光線過敏症
- イエローファット(黄色脂肪症)
- ヒスタミン中毒
魚に含まれる特定の成分や質の悪い魚を摂取すると発生する可能性があります。
チアミン欠乏症
チアミン欠乏症は、ビタミンB1が不足することで引き起こされる病状です。一部の魚種に含まれるチアミナーゼがチアミンを分解し、チアミン不足を引き起こします。
チアミン欠乏症が長期にわたって進行すると、猫に体重減少や食欲不振、神経障害などの症状が現れます。重症化すると心不全が起きたり、死亡したりする可能性にも注意が必要です。猫に刺身を与える際は、魚の種類に注意してください。
(魚の一例)生のイカ、タコ、カニなど
光線過敏症
光線過敏症は、特定の化学物質が紫外線と反応して発症します。刺身を食べた後に日光にさらされると、症状が現れます。猫に見られる症状は、顔や耳の皮膚に赤み、かゆみ、脱毛です。魚類に含まれる化学物質が紫外線にさらされると、猫の皮膚や目に炎症を引き起こす場合があります。
(魚の一例)あわびなど
イエローファット(黄色脂肪症)
イエローファット(黄色脂肪症)は、青魚(背が青い魚)に含まれる不飽和脂肪酸の過剰摂取が原因といわれています。
皮膚の下に硬いしこりができる、ふらつき、歩行異常、食欲減退などが起きます。
少量食べたくらいで病院にかけこむ心配はありませんが、青魚を常食は避けましょう。
(青魚の一例)いわし、さば、アジなど
ヒスタミン中毒
鮮度が落ちた魚や腐敗した魚にヒスタミンは生成されます。
マグロやカツオ、サバ、サンマなどの赤身魚や青魚は、ヒスタミン発生のリスクが高まるため注意が必要です。
ヒスタミンが発生した魚を猫に与えると、嘔吐や下痢、皮膚の発疹などの症状が現れます。
ヒスタミン中毒の予防には、魚を適切な温度で保管し、常に新鮮なものを選ぶことが大切です。ヒスタミンが一度生成されると、加熱しても消えませんので鮮度には十分気をつけましょう。
猫がヒスタミン中毒の兆候を示した場合は、直ちに獣医師の診察を受けてください。
手作りご飯で魚を使用する場合も気をつけてね
猫に刺身を与えるときの注意点
猫に刺身を与える際の注意点は以下のとおりです。
- 大量に与えない
- 新鮮なものを選ぶ
- 寄生虫に注意する
大量に与えない
猫に大量の刺身を与えるのは避けてください。
過剰に与えると消化不良や栄養の偏りが生じ、病気になるる恐れがあります。
猫の体重や健康状態に応じて、少量与えるのが適切です(1切れの1/3~1/4程度が目安)。
与える頻度の目安は週1回程度にしましょう。
» 猫の理想的な食事の回数と食事管理
» 猫の適切なご飯の量を解説
新鮮なものを選ぶ
猫に刺身を与える際は、必ず新鮮なものを選んでください。
古い魚は食中毒やアレルギーの原因になります。
飼い主さん本人が問題なく生で食べられる鮮度のものだけを与えるようにしましょう。
寄生虫に注意する
寄生虫のリスクにも注意が必要です。寄生虫は猫の健康に深刻な影響を及ぼす可能性があるため、適切な処理が欠かせません。
寄生虫を死滅させるためには、魚を十分に加熱するか、寄生虫が死滅する温度まで冷凍する方法が一般的です。
魚種ごとに異なる寄生虫が存在することも理解しましょう。
アニサキスは70度以上の加熱処理で死滅します。魚は中心部までしっかりと加熱することが大切です。冷凍の場合は-20℃で24時間以上で死滅します。なお、養殖の魚にはアニサキスは存在しませんので安心です。
猫と刺身のよくある疑問
猫と刺身に関する飼い主のよくある疑問をまとめたので、参考にしてください。
- 猫は本当に魚が好き?
- 刺身が猫に与える影響は?
- 刺身の味を覚えてキャットフードを食べなくなるのでは?
- 猫が刺身を食べ過ぎたときの対処法は?
- 猫のアレルギー反応の見分け方は?
- 猫が刺身を食べることで得られる健康上のメリットは?
猫は本当に魚が好き?
アニメの影響もあって、日本では猫のフードと言えば魚を連想しますが、実は日本特有の考えと言われています。
実は世界的には肉好きの猫の方が多いのです。
古来から日本では肉よりも魚を中心に食べてきたので、猫も魚を与えられていました。長年の日本人の食文化に影響され、「猫は魚を食すもの」という先入観が引き継がれているのです。
ただし、全ての日本の猫が魚を好むわけではありません。個体によって好みが異なるため、魚だけを食べさせると栄養が偏る可能性があります。適切な量と種類の魚を与え、バランスの良い食事を与えることが、猫の健康維持に役立ちます。
刺身が猫に与える影響は?
猫に刺身を与える際は、いくつかのリスクに注意が必要です。アレルギーを引き起こす魚種が含まれていると、体調不良を招く場合があります。新鮮でない刺身は食中毒の原因の1つです。特定の魚を長期間与え続けると、チアミン(ビタミンB1)欠乏症のリスクもあります。
新鮮な刺身を選び、与える量や頻度を控えめにすることが重要です。特定の魚にアレルギー反応を示さないかも注意深く確認してください。
刺身の味を覚えてしまいキャットフードを食べなくなるのでは?
ごく少量与えているのなら、キャットフードを食べなくなるということはないので安心してください。
しかし、刺身の味を覚えてしまった猫は、刺身が食卓にあることを発見すると必ず欲しがるようになります。
飼い主さんの多くは、愛猫の可愛いおねだりに負けてしまうのですが、必ず1回あたりの量と与える頻度を決めておき、それ以上は与えないようにしましょう。
あくまでおやつ、ご飯のトッピングと認識させることが必要です。
猫が刺身を食べ過ぎたときの対処法は?
猫が刺身を食べ過ぎた場合は、猫の様子をよく観察しましょう。吐き気や下痢などの症状が見られたら、すぐに獣医師に相談してください。刺身の過剰摂取は、健康に悪影響を及ぼす可能性があります。
食べ過ぎを防ぐために、刺身は1回あたり1切れの1/3~1/4程度を目安にして、少量ずつ与えます。食べた後の反応も注意深く観察しましょう。
猫のアレルギー反応の見分け方は?
猫のアレルギー反応にはいくつかの兆候があります。くしゃみやせきが続く場合は、アレルギーの可能性があります。皮膚の発赤やかゆみ、脱毛もアレルギーの兆候です。目や耳に異常な分泌物が増える場合もあります。嘔吐や下痢などの消化器系の症状や、呼吸の異常にも注意してください。
猫のアレルギー症状に気付いた場合は必ず獣医師に相談しましょう。
猫が刺身を食べることで得られる健康上のメリットは?
猫の健康を支える重要な栄養素、DHAやEPAといったオメガ3脂肪酸を摂り入れることができます。
猫は自分の体内でオメガ3脂肪酸を作れないので食事から摂り入れる必要があるのです。
脳や神経の発達、関節の抗炎症作用や健康維持、腎臓などの機能が低下するスピードを緩やかにする作用、中性脂肪を正常に保つ、心臓などの循環器の負担軽減など、嬉しい作用が確認されていますので、特にシニア猫は定期的&積極的に摂り入れたい栄養素です。
とは言え、いわゆるプレミアムフードと呼ばれる質の良いフードを与えていれば、これらの成分が最適なバランスで含まれているので、猫にとって必ずしも生の魚が必要な食べ物ではありません。
猫が刺身を食べた後の対応
猫が刺身を食べた後は、以下の対応を心がけましょう。
- 体調の変化を観察する
- 緊急時の対処法を把握する
体調の変化を観察する
猫に刺身を与えた後は、体調の変化を観察することが重要です。
消化不良の兆候やアレルギー反応、行動の変化に注意を払いましょう。嘔吐や下痢が見られた場合は、刺身に反応している可能性があります。
皮膚に発疹やかゆみが出た場合は、アレルギーの可能性が考えられるので、獣医師に相談しましょう。猫が元気をなくしたり、食欲が落ちたりするなど行動に変化が見られた場合、刺身の影響かどうかを判断することが大切です。必要に応じて獣医師に相談してください。
緊急時の対処法を把握する
緊急時の対処法を理解しておくことは、ペットの健康を守る上で重要です。猫が刺身を食べた後に異常な行動や呼吸を確認した場合は、すぐに獣医師に連絡してください。
誤食によるアレルギーや中毒症状にも迅速な対応が求められます。猫が吐き気や下痢、発熱などの症状を見せたら、食事内容と時間を記録しておくと獣医師の診断に役立ちます。緊急時に備えて最新の獣医の連絡先を保管し、すぐに連絡できるようにしておきましょう。
まとめ
刺身のつま(大根)は猫に与えても大丈夫なことが分かりました。
ただし、与える際には以下の注意が必要です。
- ドリップ(魚の水分や血)がついている場合は水ですすぐ
- 新鮮なものを与える
- 長いままで与えない(細かく切る)
- 大量に与えない
また、良かれと思って与えていた刺身が、実は猫にはNGな種類の魚だった!ということも多々あります。
甲殻類や貝類、青魚、鮮度の落ちた赤身魚は決して与えないようにしましょう。猫の健康に問題を引き起こす可能性があります。
刺身を与える場合は、必ず新鮮なものを選び、寄生虫の有無の確認が重要です。量を控えめにし、猫の健康を最優先に考えて与えましょう。
» 豊富な栄養素を摂取!猫に与えてもいい肉と避けるべき肉とは?
» 健康を守る!猫の好きな食べ物と避けるべき食べ物